どうも今年初のジーヴスのよう・・・
帯の煽りは
「ジーヴス、辞表提出!!」 あらま、バーティーは今回は何をしでかしちゃったんだろ?
気に入らないことがあると、旦那様相手でも一歩も譲らぬジーヴスが、今回辞表を提出してまで気に入らなかったのは、バンジョレレなる楽器(ウクレレね)。上手ければ問題がなかったのかも知れない。が、ロンドンの棲家のご近所からも苦情が出たくらいなので、きっと腕前は相当に酷かったと見える。意地になるバーティーは、古い付き合いの学友チャッフィーの田舎のコテージに向かう。さて、ここからお決まりのこんがらがった事情と事件が起きる。
ポーリーン・ストーカーというアメリカの大富豪のご息女、相当な美人。実は彼女とバーティーは昔婚約したことがある(ほんの48時間)。そのポーリーンと学友チャッフィーがどうも相思相愛なのだが、貴族とはいえ、懐の寂しいチャッフィー君は、大富豪の娘にどうしても告白できない。渡りに船は、ポーリーンのパパが、そのチャッフィーの広大なお屋敷を買い取ってくれる、そしてチャッフィーは晴れてポーリーンと結婚できる! そんな不穏な予感のチャッフィーのお屋敷内コテージにバーティーは居候を決め込んだのだが、さらりと辞表を言い出したジーヴスは、なんとチャッフィーの執事の職を得て、なんのことはない、その邸宅で合いも変わらず、顔を突き合わせては、ボケと突っ込みを展開。さて、この邸宅にはバーティーとは敬遠の中のグロソップも滞在しており、これがパパストーカーのお友達。憎たらしいガキが2頭。その田舎の巡査部長とその息子の巡査がこれまたボケ役。バーティーの新しい執事が手に負えない狂人(?) 愛するポーリーンがその昔バーティーと婚約していたと知って、シカトと決め込む学友チャッフィー。お転婆ポーリーンは天真爛漫。今回バーティーの周囲は天敵だらけ、我が友チャッフィーもそっぽを向き、頼みの綱のジーヴスも辞表提出中。
要は、パパストーカーが邸宅を買い取って、チャッフィーとポーリーンが目出度く結婚できて、そしてジーヴスが再び、バーティーの執事に戻れば、それで大団円なのだが、最後はそうなるってわかっていても、そこは大爆笑の連続。やっぱり圧巻は、バターを巡る状況とその展開だな・・・ 拉致監禁から逃げ出すために、ジーヴスの発案で黒人ミンストレルに紛れ込むべく顔中靴墨を塗って真っ黒になったバーティー。
”塗っちゃってくれ、ジーヴス!” これを落とすためのバター入手がにっちもさっちもいかない。大量のバターが何に消費されてしまったのかというコネタも笑うが、眠る場所もなく、食べることも出来ないバーティーが、豪奢な英国式ブレックファストを求めて朦朧となる状況には、さすがに同情する(つーか、英国式ブレックファストが食べたくなる)。最後はこの小紳士、親友チャッフィーのために人肌脱ぐんだな。そしてアクシデントとはいえ、怪奇の新執事にあのバンジョレレを燃やされ、もうバンジョレレはあきらめたバーティーの元に、すんなり戻ってくるジーヴス。あ~ようやく大団円を迎えた。
にしてもだ、執事の分際で、旦那様を手玉にとり、熱いお灸をすえるジーヴス。
「精神的にはいささか取るに足らないお方」であっても、ご主人との息はピッタリだ。チャッフィーの館に集った面々とジーヴスの会話を聞くにつけ、やっぱりバーティーとジーヴスの掛け合い漫才には誰も適わない。アンタたちって結局・・・・って思わずにはいられない。めでたし、めでたし。
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