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教皇ヒュアキントス

発売当初、Twitterで盛んにお褒めの言葉をいただいいていた『教皇ヒュアキントス』。すっかりそれに煽られ、ブックフェアで買うものリストに入れていた本。500ページ、A5判、税込約5,000円也。厚いというより、デカイ、重い。とても寝転がって読める本ではない。
4336058660教皇ヒュアキントス ヴァーノン・リー幻想小説集
ヴァーノン・リー 中野善夫
国書刊行会 2015-02-27

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永遠の愛 
教皇ヒュアキントス 
婚礼の櫃
マダム・クラシンスカの伝説 
ディオネア 
聖エウダイモンとオレンジの樹 
人形 
幻影の恋人 
悪魔の歌声 
七懐剣の聖母 
フランドルのマルシュアス 
アルベリック王子と蛇女 
顔のない女神 
神々と騎士タンホイザー 


寝転がって読める本でもないので、当然持ち運べる本でもなく、家でダラダラダラダラ読んでいたら、エラく時間がかかっただけではなく、完読した今となっては、それぞれの短篇の筋を既に忘れてしまっていることに気付いた。しかし、勝手な自論ながら、中味をよく覚えている本が必ずしも面白い本というわけではなく、面白かった記憶が残る本が実は、面白い本なんだな。ということで、この本は不思議な世界観を持った本で、装丁も美しいが、文章も美しい。それは甘ったるいロマンチックさではなく、古風で硬質な文体。

ヴァーノン・リーというのは、ペンネームだそうで、本名はViolet Paget。れっきとしたイギリス女性だ。幼年期より、ヨーロッパ大陸の各地を転々とし、滞在先の言葉にも堪能で、でも生涯のほとんどはイタリアで過ごす。こんな幻想小説も書くが、18世紀イタリア文化やルネッサンス期の音楽、文学、演劇の研究者でもある。

登場するのは、女神、悪魔、聖人、神々、狂人、蛇、宿命の女、カストラート、人形。必ずしも古えの神々の時代ばかりでもないし、中世を舞台にしたものも多いのだが、今となっては、古代ギリシャの神様たちの印象ばかりが残る (最後の神々と騎士タンホイザーなど神様総出演で、コミカルなドタバタを華麗に描いている)。キリスト教的な宗教観がないなあ、と思っていたら、あとがきで、ヴァーノン・リー はキリスト教に対する信仰心がほとんどない、との説明があった。決して研究対象であるからという理由だけでなく、ルネッサンス時代を研究するということはすなわち、ギリシャ・ローマ文化を研究することでもあり、それに対する強い憧憬がこんな作品を生み出した。

折角の美しい本をだらだら読みですっかり台無しにしてしまい、悔しいので、再読本リストの筆頭にあげておく。 
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