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フライデーあるいは太平洋の冥界

追悼、Michiel Tournier。追悼なんて云えるほど本を読んでいるわけではない。実際、メテオール(気象)だけで、それも3年半前、でもメテオールは面白かった記憶がある。ずっとノーベル文学賞候補で、結局受賞はできなかったけれど、とにかく、それでも追悼。。。

4000028642フライデーあるいは太平洋の冥界
ミシェル・トゥルニエ Michel Tournier
岩波書店 1996-10-25

by G-Tools

ロビンソン・クルーソーの物語をフライデーの側から読みかえ,未開と文明,自然と文化,狂気と理性の対立と倒錯を寓話的に描く.太平洋の孤島でただ1人文明を築こうとするロビンソンは,世界の存在を自問する中,自然の力に魅せられていく.著者の最も親しい理解者であるG.ドゥルーズの解説を加えた待望の新装版

たぶん私はデフォーの 『ロビンソン・クルーソー』 を子供の頃読んでいないと思う。男の子が飛びつきそうな冒険モノは、女の子らしく(笑)、敬遠していた気がする。マークトウェインも、海底二万マイルも十五少年漂流記も読んでないな。

”Tournierの「双子性」への執着は 「フライデーあるいは太平洋の冥界」から続くテーマらしい。”と自分で書いておきながら、その双子性とやらが、今回もよくわからずに終了してしまった。それは文明と野蛮ということなのか?相反するようで、実は表裏一体と化し、どちらが欠けてもお互いが成立しない。それはロビンソン・クルーソーとフライデーの関係。そしてトゥルニエ が小説を借りて哲学を語る作家であることも、すっかり忘れていた。無人島で、悶々と哲学的に自問し、日記を書くロビンソン・クルーソーにちょっと躓く(この難し哲学日記は読まにゃいかんのか???)

まずは定石どおり、一人ぼっちで無人島にたどり着き、嘆き悲しむロビンソン・クルーソー、頭がおかしくなりそうな彼は、日記をつけ始め、そこで航海日誌という名の哲学が続く。精神の支柱を取り戻した彼が次に行ったのは、かつて自分が所属していた”文明社会”と呼ばれる社会を、この無人島で築き上げること。作物を育て、家畜を飼育し、食物を蓄え、挙句、自らを総督と呼び、法を制定し、将軍も兼ねる。水時計を作り、絶望していた時には止まっていた時間が再び動きだし、彼は一人秩序を作り上げ、秩序に忠実に従う。それは明らかに滑稽だ。そして現われるフライデー。フライデーにことごとくその秩序を崩壊され、そして意図はしなかったものの、当然の帰結のように、保管していた火薬を大爆発させたフライデーにより、ロビンソンが築き上げた似非文明はすべて崩壊する。秩序に取りつかれていた頃は主従関係であった二人、但しそう思っていたのはロビンソンだけで、フライデーは全く彼の意図を解さない、はその後、この文明モドキが崩壊した島でともに暮らす、それも20数年。ある日一隻のイギリス船が沖合に現れる。そこで一晩宴に招かれたロビンソンは違和感を感じ、結局彼は祖国へ戻らず、島に帰る。が、あのフライデーはイギリス船とともに去ってしまった。一人残されたと落胆していた彼の前に、そのイギリス船で下働きをし、虐げられていた少年が島に逃れてきたことを知る。と、ここで終了。

何が難しいって、粗筋だけ読むと、まるで単純な文明批判でしかないが、哲学者Michel Tournier の意図はそんなところに留まっていないってところ。巻末に友人ジル・ドゥルーズの解説が親切にも付け加えてあるのだが、それを読むともっとわからなくなる。それでも徐々に神話的要素が膨れていくこの本は、やっぱり単なる文明批判とは思えない。島の植物との性的関係なんて、いったい何をどう考えればよいのかわからなくとも、これは神話だな。ジル・ドゥルーズの云う、”他者” はさっぱりだが、メテオールといい、この本といい、最後は昇華してく姿は美しい(が、総じて暗いよね、トゥルニエって)。
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