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眠りなき狙撃者

これほど期待を膨らませて臨む本も少ない。マンシェット早くも第二弾。
4309464025眠りなき狙撃者 (河出文庫)
ジャン=パトリック マンシェット Jean‐Patrick Manchette
河出書房新社 2014-11-06

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読みながら、これはむしろ映画向きだよね、と思ったが、過去に2度映画化されている。1度目が、1982年にアラン・ドロンとカトリーヌ・ドヌーヴ共演で制作されたフランス映画「最後の標的」、2度目はショーン・ペン主演「The Gunman」。

引退を決意し、新たな世界を希求する殺し屋に襲いかかるさまざまな組織の罠、そしてかつての仇敵たち―「現代フランス文学の極北」といえるほど、限界まで贅肉をそぎ落とされ張りつめた文体が描く、荒涼たる孤独と絶望のドラマ。ロマン・ノワールの旗手・マンシェットの遺作にして、最高傑作。ピエール・モレル監督により映画化。

が、相当な不完全燃焼で終了。”マンシェットの遺作にして、最高傑作” っていったじゃん。私の調子が悪かったのか?と不安にさえなる(いや、実際そうならいいのだが)。

殺し屋マルタン・テリエはかっこよくはない。暗殺者でもスパイでも、一匹狼のスナイパーでもなく、組織に雇われた(おそらく)使い捨てされる狙撃者だ。恋い焦がれる女に10年待ってくれと頼み、10年後再開したとき、女は別の男性と結婚していた。それが引き金となり声が出なくなる。で、その女の方がむしろ冷酷だ、いやラリッてるといった方があっているかもしれない。女の夫も狂っている。マルタンを追う組織のボスはかなり狂っている。彼をその道に連れ込んだ昔の黒人の友達が、唯一まともな人間かも知れない。文体は、確かに贅肉なしだ。スピード感もあるかもしれない。でもドライブ感がない(って、何が違うと云われても・・・・) 変わらず皆が次々に殺されていく。内臓も脳みそもぶっ飛ばされて死んでいく。でも、中盤以降もたついたんだよね(もしや、もたついたのは私の方なのか?)

う--ん、要素としてはすべてOKに見えるが、何がいけなかったんだろう?アメリカ的な派手なアクションやハードボイルドな味付けや、勧善懲悪がないのはいいが、プロットで勝負する作品じゃないとすると、細部のキレが悪かったということか?でも、最後は悲しい終わり方だったなあ。北極からの冷たい風に私も一緒に吹かれた気分だ。小者の悪人たちは死んでいったけど、きっと大物は今でものさばっている。そしてマルタンは羊になる。不器用な男だ。
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