FC2ブログ

Entries

Sunset Park

あ~~ガシガシ読めて気持ちよかった。Paul Austerの最新作。発売は去年の秋頃だったけど、高いハードカバー本を横目で見ながら、ペーパーバックが出るのをじっと待ち、ようやくゲット。
Sunset ParkSunset Park
(2011/06/02)
Paul Auster

商品詳細を見る

私にとっては当たろうが、外れようが、必ず作品は読む作家のひとり。どの作品も卒なく、そこそこ面白くまとめてしまう技は見事。最近のレビューではその十八番のストーリーテリングのマンネリ感を指摘する声もあって(私なんかそれでも面白くて読みふけっちゃうけど)そのせいなのか、今回はやや趣向が変わった感じ。相変わらず個人的に大好きらしい野球の蘊蓄話しと、映画(今回はウィリアム・ワイラー監督のThe Best Years of Our Lives~わが生涯最良の年~がネタに使われていた)の話しは出てくるけど、なにかが違ったんだよなあ。。それでものっけからぐいっと掴む力はすさまじくて、最後はどう収めてくれるんだろうと、期待させてくれた。

今回のストーリーの背景にあるのは、2007~2008年のサブプライムローン破綻による経済危機が生み出したホームレスたち。Austerはベトナム戦争や9.11など社会問題・政治問題を背景に据えながらも、社会派臭くは決してならないあたりがいい。今回の主人公はMiles Hellerという28歳の青年、両親の離婚や継母、義兄との問題から家を飛び出し、ドロップアウトし、放浪の果てにフロリダに行き着き、そこでその日暮らしのような生活をしている。その後理由あって、友人の住むSunset Parkに住み始める。ちなみにSunset ParkとはNY Brooklynの一角の廃れた地帯。Milesたちは、元の住人が逃げ出した廃墟を不法占拠してそこにタダで住んでいる。

いつもなら、主人公を軸に確固たる話しが展開するのだけど、今回はMiles本人だけではなく、その友人たち、同居している友人の友人、Milesを捨てた実の母親、Milesの父親も順番に登場し、チャプター毎に主人公に据えるという構成で、彼らが抱えている問題まで丁寧に描かれている。3人称で語られながら、ダイアローグが本当に少なく、独白を聞いている気分。このせいなのか、よくあるサブストーリーを絡めた進行や、ジェットコースターのようなグイグイ引っ張るストーリー展開は中盤以降若干弱まり、ちょっとおとなしめ。不思議な感じというのは、Milesは確かに中心人物なんだけど、最後の一歩手前までどことなく、ぼんやりした(顔が浮かばない?正体が見えない?)存在で、その周りの友人や両親だけがあたふたと振り回されているイメージ。

アメリカ的なるものがどーも好きになれない私が、Austerだけはなぜ特別扱いなのかというと、そのアメリカ的なる人物が彼の小説の中には登場しないからだ・・・と今回ようやく気づいた。アメリカ人も大変だよな・・・とちょっと同情できる。
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://besideabook.blog65.fc2.com/tb.php/67-b07e5c33

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

Calendar

<
>
- - - - - - -
1 2 3 4 5 67
8 9 10 11 12 1314
15 16 17 18 19 2021
22 23 24 25 26 2728
29 30 - - - - -

全記事

フリーエリア

フリーエリア