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Stoner

英語のPBを買ったつもりが、届いたものがドイツ語版だった。英語版を買い直そうと思ったら結構高くてめげた。結局、Amazon USへ飛んで、Kindle版にした。

1590171993Stoner (New York Review Books Classics)
John Williams John McGahern
NYRB Classics 2006-06-20

by G-Tools

半世紀の時を経て、今静かなブームになっているらしい。イアン・マキューアンやらトム・ハンクスやらジュリアン・バーンズの絶賛コメントも目にする。ごくごく平凡な大学教授の幸せだったとは言い切れない人生を描いたものらしい。

William Stonerはミズーリの農家に生まれ、家を継いで農業を生業にしていくのだろうと、本人も家族も思っていた。その農業を学ぶために入学した大学で文学の虜になり、やがて教師として大学の教壇に立つことになる。やり手の同僚、そつなく人生を渡る友人、資産家の娘に一目惚れするが、まもなく事実上破たんする結婚生活、娘とのぎくしゃくした関係、教え子との不倫、学内の人間関係ではつまずき、歳を重ね、死んでいく。凡庸であるというより、凡庸であることを自ら望んでいるような人生だ。そして不器用であることでどれだけ傷ついても、頑なに不器用であり続けることを望んでいるような人生だ。

彼を文学の道/教師への道に導いたのはスローン教授だが、この教授はどちらかといえば人気のない教授。そのちょっと尊大なスローンがStonerの文学愛を見抜く。Stonerを見抜いたこの教授の存在はよかった。そして不倫の果て大学を去らざるをえなくなったStonerの恋人キャサリンは、だが、自らの研究を続け、遠く離れた地から”WSに捧ぐ”の献辞を書き添えた研究成果を残す。このキャサリンも好きだ。

でも、絶賛の嵐のこの作品、私はやはり好きになれん・・・(断言するのは勇気がいるもんだ)。凡庸さも不器用さも構わないが、逆風の中でただただひたすらじっと耐えている(その忍耐力たるや凄いのだが)Stonerは好きになれん・・・ やることなすこと、何だか上手くいかない人生に文句も云わない。ブン投げたり、放棄したり、なんなら周りを少しばかり不幸にして、我儘に生きちゃあいけないだろうか?自分の本を抱きしめながら静かに人生を全うした彼を静かに見つめるほど、私は人間ができていない。

英語は総じて読みやすい。主人公Stonerもそうだが、ストーリーも奇をてらうことなく淡々と流れ、進んでいく。美しい文章や格調高き文章は、きっとちょっと英語が難しく、私がさらりと流してしまったのだろうと思うのだが、邦訳は、東江一紀氏の最後の翻訳ということで、追悼も多く、各所で大絶賛の模様。もしかしたら邦訳の方が断然格調高く仕上がったんじゃないかと、そんなことを思って、自分を慰めている。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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