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南十字星共和国

「白水Uブックス 海外小説永遠の本棚」はお気に入りのシリーズ。ロシアにもめげず、どうみてもタイトル買いの一冊。
ワレルイ・ブリューソフ(1873-1924)は、ロシアの詩人・小説家でロシア象徴主義を代表する作家というが、その”象徴主義”が何なのかはよくわからん。もともとは1973年に白水社から出ている「20世紀のロシア小説」のシリーズの一冊だったが、この1973年版はほぼ入手不可なので、待ってました!の方々には待望の刊行。
4560072051南十字星共和国 (白水Uブックス)
ワレリイ・ブリューソフ 草鹿 外吉
白水社 2016-03-26

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短篇集- どれも期待に反して(!)楽しく読めた。楽しく・・・はちとちがうか。総じて暗くてペシミスティックだ。20世紀初頭、ロシア革命のその時期に書かれている。ブリューソフは亡命せず新生ソ連に留まり、共産党員から文化大臣にまで上り詰めた人物だそう。
序文
地下牢
鏡の中
いま、わたしがめざめたとき・・・・・
塔の上
ベモーリ
大理石の首
初恋
防衛
南十字星共和国
姉妹
最後の殉教者たち

どれもこれも「死」の匂いがする。帝政末期の魔都の悪夢といったところ。夢と現実の混乱、偏愛、鏡の世界とこちら側の世界の境界線が失われたり。。。。 タイトルになっている「南十字星共和国」はそんな中でも、『自己撞着狂』なる奇病で南極大陸に建設された新国家の首都〈星の都〉が滅亡していく楽園の崩壊ものだが、ここに無理やり、帝政ロシアの崩壊を重ね合わせてみる。ま、そんな無理をしなくても、南極に建設される近代都市が摩訶不思議な伝染病で崩壊してゆくという発想だけでも面白い。

でも地味ながら、この本を決定づけたのは、初っ端の「地下牢」だった。地下牢に閉じ込められたお姫様と、同じくそこに収容されているマルコとの恋物語だが、お姫様はレイプされ身も心をずたずたになるが、そんな中でマルコなる男性と心を通わせる。しかし無事救出され、元の高貴な家に戻った彼女はある日、同じく解放されたマルコを街でみかける。粗野な労働者としてのマルコ。彼にはとても稼ぎ出せないだけの金を与え、だが自分のいる世界からは追いだしたお姫様。運命の展開の怖さというか、究極の状況から脱してみたら、男と女は相いれない世界にそれぞれ生きるものたちだった。この何とも言えぬ怖さが、決定打だったな。
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