Entries

異端教祖株式会社

私が読んだ「異端教祖株式会社」は実はこの晶文社版ではなく、講談社文庫の鈴木豊訳。天下のAmazon様にもないので、紹介はこちらにしてみた。因みに白水Uブックスからもでている。講談社文庫版は、カバー装画がビアズリーというなかなか素敵な文庫本。GUILLAUME って名前だからすっかりフランス人だと信じて疑わなかったら、本名はヴィルヘルム・アポリナリス・コストロヴィツキ、イタリア出身のポーランド人で、フランスで活躍したということを初めて知った。ついでにアポリネールは初。
B000J94VI4異端教祖株式会社 (1972年)
窪田 般弥 GUILLAUME APOLLINAIRE
晶文社 1972

by G-Tools

20世紀初頭のフランスで前衛芸術分野で活躍したとなったら、私なんかには手が出せないようなちょっと難解系なのかと思っていたら、あら、全然違う。彼は38歳という若さでこの世を去ったが、詩人であり芸術評論家でもあった。小説では同性愛やサディズム、殺人を扱い発禁処分も受けているというから、キワモノなのかとも思ったが、この『異端教祖株式会社』を読んだ限りでは、なんだかとてもエネルギーを感じるキワモノ。

プラーグへ立ち寄った男
瀆聖
ラテン系のユダヤ人
異端の教祖
教皇無誤謬性
神罰三つの物語
魔術師シモン
オトゥミカ
ク・ヴロヴ?
ヒルデスハイムのバラまたは三人の賢者の財宝
ピエモンテ人の巡礼
オノレ・シュブラックの失踪
アムステルダムの水夫
高潔な一家と負籠と結石の物語
詩人のナプキン
贋救世主アンフィオン  ドルムザン男爵の冒険物語


タイトルどおり、様々な異端が登場する。正当なカトリック教会からはみ出た神父など神父らしからぬ神父も多数登場。その他妄想とシュルレアリスムを織り交ぜて、異端児アポリネールが書いた奇想天外な小噺みたいだった。各地を放浪した彼らしく、舞台も様々、先々で書き留めたものを、どんと一冊にまとめあげたらしい。実際に38歳でこの世を去っているので、ジトッと暗い妄想ではなく、エネルギーに満ちた明るい妄想。笑ってしまう箇所はないけれど、ハア?と苦笑いしてしまう箇所は多い。いや、やっぱり笑うかも知れない。

贋救世主アンフィオン ドルムザン男爵は、実は痛快なピカレスクものだった。最後の逸話ではついにSFの世界にまで到達してしまう。詩人たちがナプキンを使い回し、決して洗わない。汚染され切ったナプキンのなれの果て物語が「詩人のナプキン 」。これは怖い話しらしいんだが、可笑しいといってしまうのは不謹慎か?でも、個人的に好きだったのは、「高潔な一家と負籠と結石の物語」。結石って膀胱結石なのだけれど、その結石が埋め込まれた指輪なんて考えつくだけでも、これは凄い。

シュールリアリズムの先鋒を行った彼は今でもとても新鮮だった。再びアポリネールに臨みたし!
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://besideabook.blog65.fc2.com/tb.php/694-6fcb3984

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

Calendar

<
>
- - - - - - -
- 1 2 3 4 56
7 8 9 10 11 1213
14 15 16 17 18 1920
21 22 23 24 25 2627
28 29 30 31 - - -

全記事

フリーエリア

フリーエリア