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たんぽぽ殺し

「ポーランド旅行」でデーブリーンデビューをしてみたが「ベルリン・アレクサンダー広場」まではまだまだ遠い道のり。アマゾンで彼の作品をつらつらと検索すると、そもそもそれほど沢山の邦訳があるわけではないのだが、とにかく値崩れしていない作家。こちらは今年発売された新装版。「たんぽぽ殺し」をはじめとする短篇集で、「ベルリン・アレクサンダー広場」の肩慣らしに是非との声もあったので、まずはデーブリーンの処女作であるこちらから。

4309207006たんぽぽ殺し
アルフレート デーブリーン Alfred D¨oblin
河出書房新社 2016-02-29

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難しいことは書いていないはずなのに、気づくと置いてきぼりを喰らい、前のページに戻って読み直す、ということを何度かやって最後まで到達したものの、いやはや一体何だったんだろう?と首を傾げ、落ち込み、読了した。普通の10倍くらいの集中力で読まないとわからないかもしれない(それもよくわかんないんだろうな)。

帆走 
踊り子とカラダ
アストラリア
処女懐胎
変身
死神の助手
ドア違い
たんぽぽ殺し
青ひげ公
第三の男
うぬぼれ男の手記
修道女と死神
ドレスデン=ブカレスト線
秘密裁判
戦争、戦争
助任司祭
夢遊病の女
天国の恩寵について
ヒンツェルとおてんばレーネ
巨人ヴェンツェル
クロコダイル
リットホーフの幽霊
伯爵になった下男
ローベンシュタイン人のボヘミア大移住


デーブリーンは精神科医でもあったそうで、表題の「たんぽぽ殺し」に代表される初期の短篇は、幻想的などというほんわかしたものではなく、神経質なまでに張り詰めたグロテスクさ。笑いがあるようで、でもそれは無気味でしかない。つまりは狂気だ。読んでいる側の精神まで蝕むような気持ち悪さだ。後半は戦争が絡むものが多いが、それも単にユダヤ大虐殺を想定するなどという単純なものではない。ちなみにデーブリーンは1878年生、1957年没。ナチス政権時代には、当然発禁処分を受けているが、彼自身は1933年にパリに亡命している。

デーブリーンはドイツ表現主義の作家だと云われているそうで、そのドイツ表現主義って何なのかと、わからなさ過ぎてググってみた。表現主義は印象主義に対峙する表現で(Impressionismに対するExpressionism)、印象主義が外界の表面的視覚的印象を写し取るのに対して、表現主義は人間の内面性を表現したり、対象の内部に入り込んだ本質を探るものとある。表現主義という言葉に囚われるとよくわからないが、第一次大戦後の不安定は時代を通して、過去の伝統破壊から発したものであるという。大都市生活の不安、没落のヴィジョン等、不安な時代のネガティブな精神状態、苦悩・憂鬱・怒りを反社会的でグロテスクで、極端にデフォルメされた描写で描いたもの。堕落芸術ともささやかれていたらしい。
うーん、少しは「たんぽぽ殺し」に近づいてきたかもしれない。

「ベルリン・アレクサンダー広場」にまでは遠いが、この神経症的なデーブリーンの作品は、掴んで離さない凄みがある。わからないくせに面白い本は一番たちが悪い(笑)
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