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When books went to war

邦訳『戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)』のオリジナル英語版。第二次世界大戦中、軍と出版界がタッグを組み、アメリカは戦地の兵士たちに図書を送るという壮大なプロジェクトを行った。その数、およそ一億四千万冊。ナチスによる焚書約一億冊を上回る数となる。そしてArmed Services Edition (邦訳では兵隊文庫となっていた)なるスペシャル仕様も開発された。

0544570405When Books Went to War: The Stories That Helped Us Win World War II
Molly Guptill Manning
Mariner Books 2015-10-27

by G-Tools

お粗末ながら、私はこの一大プロジェクトのことは知らなかった。最初はボランティアから始まったこのプロジェクト。その後アメリカ政府と軍を巻き込んだ、国を挙げてのプロジェクトとなった。戦地というと、日々生死の狭間で生きていると思いがちだが、待っている状況というものは案外多いらしい。待つといってものんべんだらりとした精神ではなく、明日か明後日かというじりじりした状況に変わりはないが、精神的には厳しいその待つという状況で、その精神を正常に保つために、本がどれほどう役に立つものか、役に立つというより、それは一時の現実逃避でもあるかもしれないが、兵士たちが本の到着を待ち望み、到着したら先を争うように本を奪い、そして読書に没頭する様がよくわかる。過酷な状況で耐えうる本を製造する苦労と工夫も描かれており、サイズや段組みの工夫(横長2段組)、糊や綴じ方の話し、はたまたやはり問題になった検閲の話も興味深い。ということで、そのArmed Services Edition がどんな本だったのかというと、こんなものだったらしい。
armed services editions
これを機会に今全盛を極めているペーパーバックが大きく改良されたということも事実。

本の冒頭はナチスの焚書のシーンから始まる。非ドイツ的として焚書の対象になった本は巻末に一覧表があるが、私でさえ知っている本も多々あり、別の意味で錚々たる本たちだ。ナチの収容所でも飢えや不衛生とう肉体的虐待もさることながら、収容所でまず行うことは、文字というものを一切排除することらしい。知的行動を奪われた人間は、人間性が破壊されるという。極限状況に置かれたものでない限り理解できないのだろう。最低限の衣食住さえあればという考えは、それなりの毎日を生きていいる者の考えであって、人間はそれだけでは生きていけないということだ。いくら本が好きな私でもこの文字への飢えというものは想像できない。大々的に焚書を行ったドイツにせよ、戦地という極限状況に本などを送るということも、コインの裏表で、結局は文字の書物の力を恐れ、信じていることには変わりはない。

第二次大戦中、ヨーロッパはほぼナチスに占領され、アジアは日本に侵略され、本土進攻はされなかったもののイギリスもドイツの空爆を受け、真珠湾攻撃後、参戦を表明したアメリカは、数少ない本土攻撃を受けなかった国だ。だからということでもないのだろうが、大戦中のアメリカ史を知るにつけ、この国に勝てたはずはなかったと思い知らされる。国費で戦地に本を送る国と国民の日々の糧さえ奪われた国では、戦いようがないではないか・・・個人的偏見ではあるが、アメリカという国がどうにも好きになれない私だが、良くも悪くもこのアメリカの懐のデカさを思い知らされる本だ。それは政府や軍がというより、様々な人間が様々に生きることを認める国の強さなのだろう。

さて、こういった本のお決まり事として、Armed Services Edition の中でダントツといってもいいほどの人気があった本を一冊ポチっとしてみた。映画化もされたらしいが、私はとんと知らなかった。粗筋を見る限り、あーーーアメリカって感じだが、塹壕やジャングルで涙を流した兵士の気持ちをちょっとでも味わえるならと期待している。
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