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風鈴のはなし

昨晩は台風が近づいているせいで、風が強いが、外を覗くと雨は降っていない。いや?月が出ている!というおかしな天気だった。風鈴の音が聞こえて、窓を閉め忘れていたことに気づいた。

たいして広くもない私の部屋には風鈴が2つある。二連のものは実家からいただいてきた。一連は1年くらい前に新規購入したもの。これは≪小田原風鈴≫なる風鈴。鋳物の風鈴で、2連は50年は経過していると思われる年代物で、短冊だけ最近新調した。一連は去年買ったもの。えらそーにしているが ≪小田原風鈴≫ を知ったのはせいぜい2年前。歴史は古く江戸時代初期にまで遡るが、詳細にご興味のある方は、どうぞ≪小田原風鈴≫で検索してみてください。ウチにあるものは真鍮製で、お値段はお手頃だが、小田原風鈴には、銅に錫を20%以上含ませた砂張(さはり)製というものがあり、そちらになると一連でも1万円するという風鈴とは思えない高級な風鈴で、あの黒澤明が映画「赤ひげ」で、最高の音色の風鈴を所望され、この小田原風鈴が使われたというエピソードも有名らしい。

風鈴1 風鈴2 
風鈴3 風鈴4

小田原風鈴という由緒正しき風鈴であることを知るずっとずっと前、私の実家では風鈴と云えば、これだった。子供の頃はこの地味な風鈴が好きになれず、ずっとガラス製でカラフルな江戸風鈴が欲しくて仕方なかった。なぜ寄りによって、こんな地味な風鈴があるのか聞いたこともなかったが、大人になってから、父がボソッと ”これはいい風鈴なんだぞ” と云ったことがある。ふーーん。何がどういいのか興味もなかった。もっと大人になって人生も半分終わってしまった頃、この地味な鋳物風鈴がとても素敵に見えるようになってきた(歳を取るのもいいものだ)。そして2年くらい前、偶然ネットで小田原風鈴の存在を知った時、父の”これはいい風鈴なんだぞ”という言葉を思い出したのだった。再び風鈴の話を持ち出したところ、”柏木さんの風鈴だ” という。柏木さん??さん付けで知っている職人なのか?柏木さんは、風鈴の製造販売を行っている『柏木美術鋳物研究所』の柏木さんだったが、さらに驚くことにこの『柏木美術鋳物研究所』は、近所も近所、家から12-3分のところにあった。風鈴と一緒で地味な外観で、あまり通らない道だから全然知らなかったが、確かに存在していた。父と柏木さん(きっと先代ね)がどんな知り合いだったのかはわからないが、実家には2-3個あるところを見ると、気に入って偶然に買ったのではなく、知り合いのいい職人さんの風鈴を買ってあげたと思われる。

ガラスの風鈴にはガラスの風鈴の音色があり、鋳物には鋳物の音色があるが、確かに鋳物の風鈴の方が余韻が長い。音色をどう言葉で表現したらよいものかわからないが、江戸風鈴=チリンチリン に対して 小田原風鈴=キリーンキリーン くらいの違い。私には江戸風鈴はタ行の音で、小田原風鈴はカ行の音に聞こえる。

風鈴の音色に涼しさを感じるのは、日本独特らしい。あの音をうるさいと感じてしまう人もいるらしいので、私にとってあの音色は生まれたときからずっと耳や身体に染み込み続けている夏の音色なんだろう。実家には3連もあり、3連になると音色が和音になり(つまりひとつひとつ音色が少しずつ異なっている)、これは本当にいい音だ。3連まで持ち出しては申し訳ないので、それは実家で風に揺れて今でも音を奏でている。
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