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A Tree grows in Brooklyn

「When books went to war」のあとにポチッたのがこちら。日本では「ブルックリン物語」として映画が公開された(監督はエリア・カザン!)。原作の翻訳版は探せなかった(あるのか、ないのか?)映画については、そこそこレビューや感想が見つかるが、原作本へのそれはほぼ皆無。Armed Services Edition としてダントツ人気のこの本は、アメリカであれば、ああ。。。。な存在なのだろうが、日本ではとても知名度が低いということが分かった。Betty Smithはペンネームで、ドイツ移民の子として生まれた彼女の本名はElisabeth Lillian Wehner。自身の経験から生まれたこの「A Tree grows in Brooklyn」が彼女の最初の長編小説だ。

0099427575A Tree Grows In Brooklyn
Betty Smith
Arrow 1992-09-17

by G-Tools

主人公はNolan一家の長女Francie。20世紀初めのブルックリンに生まれ育った彼女が成長していく過程を描いている。母のKatieはオーストリア移民の子供、父のJohnnyはアイルランド移民の子供、そしてFrancieの弟のNeeleyの4人家族。お祖父ちゃんやお祖母ちゃんがアメリカに渡っていた話、そしてお父さん、お母さんが生まれ、二人が出会い結婚した話も盛り込まれている。母のKatieの個性的な姉たちもしばしば登場する。

当然(?!)一家は貧しく、その日を暮らしていくことに精一杯で、父のJohnnyは定職がなく(歌手でウェイター)、人はいいがちょっと気が弱く、それ故にアルコール依存となる。現実的な母Katieが働いて得た収入が一家を支えている。何がテーマかというと、多多あるのだが、貧困という環境の中から見える、男尊女卑、教育、モラル、正義、家族といったところで、ふと「To Kill a Mokingbird」を思い出したが(あまり、アメリカン文学は読まないので、この位しか比較対象がない)、あちらは子供の成長というより、正義とは?という社会性が強いが、こちらは読む人それぞれが、自身に置き換えてあれやこれやとわが身を振り返りながら読み進んでいく感じだ。描かれているのは平凡な日常だけで、ショッキングな事件とか感動話しもあるわけではない。嬉しいことも哀しいこともすべてが日常だ。ちょっと不器用なFrancieが大人になっていく姿や、家族との関わりを追いかけていくだけでぐっとくるんだな。

お母さんはその後、一種の玉の輿結婚をするんだが、Francieにしても弟のNeeleyにしても、貧乏の中でたくましくというより、淡々と生きていく。もっと勉強をしたくても、もっと本を読みたくても、まず働き、小銭を稼がなくてはならないが、それでも自力でどうにかする。哀しいこともあるが、小さな幸せもある。諦めざるを得ないこともあった。貧乏だからできないこともあった。でもここに登場する人たちは、他の誰かを妬んだり、捻くれたりしない。この一発逆転アメリカンドリームでは決してない日常は、おそらく戦場でこの本に出合った人たち誰もが、共通して共感できることなんだろう。

舞台となる一家が暮らすブルックリンは、今では独特の文化を生み出している地域だが、アメリカの縮図のように昔から様々な移民が集まる場所だった。Betty Smith 自身もドイツ移民でブルックリン生まれ。マンハッタンへ行くことは、New Yorkへ行く、ことらしい(笑)。ブルックリンに浸かりきったこの本は、そのうち、様々な移民が作り出す、様々な食材や料理の匂いまで醸し出しそうな本だった。
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