Entries

狂気の巡礼

「ハードライフ」ともう一冊東京国際ブックフェアで国書刊行会様で購入したのがこちら。「動きの悪魔」に続いて、ステファン・グラビンスキの2冊目。

4336060746狂気の巡礼
ステファン・グラビンスキ 芝田文乃
国書刊行会 2016-09-23

by G-Tools

いきなり装丁から褒めるのもなんだが、装丁はとても私の好み。薄手だがケースに入っていて、本体はソフトカバー。ケースには窓があり、そこから本体が覗けるという仕組み。裏表紙の写真もキレイ。

日常に侵された脳髄を搔きくすぐる、名状しがたい幻視と惑乱。冥境から降り来たる歪形の奇想。ありふれた想像を凌駕する超越的感覚と神経症的筆致で描く14の短篇。〈ポーランドのラヴクラフト〉による類なき怪奇幻想小説、待望の邦訳。

壁が包囲する入口のない庭園。漂う薔薇の芳香には、ある特別な《におい》が混じっていた。「薔薇の丘にて」
神経科医のもとへ診察を受けに訪れた精神病理学者の妻。彼女が打ち明けた夫の驚くべき秘密とは?「チェラヴァの問題」
筆を折り蟄居する作家を見つめる無人の向かい家からの不穏な視線。著者の自画像ともいうべき怪作。「領域」


↑は国書刊行会様のウェブサイトからのパクリだが、丁度この3冊がお気に入り。怪奇小説ととはまさしくこれ、といった感じの怪奇だが、すっごく怖いのかというと、特段怖くはないのよね。。。ポーランドのラヴクラフトだの、エドガーアランポーだのとの比較がされるが、全篇を読みながら私の頭に浮かんだのは、映画 『シャイニング』。時に科学的でもありながら、とどのつまりは、極度の神経症が生み出す人間の狂気で、すべては日常から発しているのに、歯車が僅かに狂った瞬間、ありきたりの外界が人間の神経に襲い掛かる。やはり一番の狂気は人間の精神そのものだよ。もしかしたら、見たはずの影も、漂う香りも、実際には存在せず、狂気に陥った人間が作り出した幻影なのかもしれないし、おそらく当人だけが見ることのできる狂気なんだろう。

ステファン・グラビンスキが上手いなあ・・・と思うのは、描写。人里離れた館やそこにあるうらぶれた庭、夜の風景。来るぞ、来るぞ、というその過程には、じわじわと迫るこうした描写があるんだな。前作「動きの悪魔」同様、かなり人は殺されていくが、怪奇度合はこちらの方が勝るので、「動きの悪魔」の次は是非、こちらを。
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://besideabook.blog65.fc2.com/tb.php/714-ac0658dc

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

Calendar

<
>
- - - - - - -
- - - - - 12
3 4 5 6 7 89
10 11 12 13 14 1516
17 18 19 20 21 2223
24 25 26 27 28 2930
31 - - - - - -

全記事

フリーエリア

フリーエリア