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背徳者

実家の本棚を漁ってみたら、こんな本があった。私が昔読んだのか??
André Paul Guillaume Gide 1869年11月22日 - 1951年2月19日。超古典の大御所のイメージがあったが、なんのことはない、19世紀後半と20世紀前半を生きた作家だった。この世代なら、私が普通に読んでいる。なのにどうしてコテコテの古典文学作家のイメージがあるのだろう?岩波からもでているが、私が読んだのは、新潮文庫の石川淳訳。初版(改訂版)は1950年だが、石川淳が初めて訳したのは、1924年。なんと大正13年。Wikiには、
日本では、和気津次郎による紹介を皮きりに、堀口大學、山内義雄などの手によって知られるようになった。小説家・石川淳による批評文もあり、石川はジッドの小説を翻訳してもいる。また、ジッドの著作は当時の文人たちに多大な影響を与えた。例えば横光利一の純粋小説論はジッドの『贋金つくり』が影響していると言われている。
とある。明治生まれの文豪自らが翻訳すると、敷居の高いフランス文学になるのだろうか?

4102045015背徳者 (新潮文庫)
ジッド 石川 淳
新潮社 1951-12

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ジッドの人生を簡単だが追っていくと、どうも激しい人生を送った人のようだ。
25歳で、北アフリカを旅し、オスカー・ワイルドと出会い、娼婦との交流し同性愛を経験する。
30歳くらいより、本格的に文筆活動を開始。世に知れた作品たちはこの時代から始まる。結婚もしたようだが、妻との性交渉はなく、同性愛関係を続け、結婚生活は実質破たんしていたらしい。
58歳にして、中央アフリカを旅する。この後植民地政策に口を出すなど、政治的発言が目立ってくる。
60歳も過ぎて、今度はソ連に渡る。共産主義へ傾斜しながらも、ソ連の実態を目の当たりにして、今度はスターリン批判を始める。77歳にして、ノーベル文学賞受賞。
81歳にして、パリで没。死後、彼の著作はローマ教皇庁により、禁書に認定された。

父を早くに失くしたジッドは、母親と家庭教師により、プロテスタントとして厳格に育てられた、軟弱で病弱で優柔不断で、学業もパットしない、少年だったらしい。その後の激しい人生は、この反動なのか?背徳者は、ジッドがアフリカに旅して病気になり、回復後に生命の喜びを見出した当時の魂のありさまを、告白的に小説として描いたものだという。うーーん、反動だな。主人公ミシェルは、一時は死に瀕していた人間が再び健康になると、まず肉体が生きる喜びを享受し、そして精神は殻を破る。あとは怖いものなどない。結婚当初は、妻とどうにもギクシャクした関係だったが、一度殻が破られると、夫婦の営みも達成し、愛の歓喜に満たされた結婚生活となるはずが、彼と交代するように、今度は妻の体調が思わしくなく、献身的に介抱するものの、規制道徳や宗教を飛び越えてしまった彼は、農園で働く若くて逞しい男の子を好きになってしまい、結局吐血する妻をほったらかしにして、旅に出てしまったりする。病気の妻を思いやるようでいて、各地へ連れまわるような旅行にも連れて行ったりする。

背徳者とは何なのか?身勝手に自らの肉体の欲望を求め、結果妻を見殺しにしてしまう人間のこと?過去の因習やキリスト教概念から逸脱すること?既存の枠に安住できないジッドの魂の放浪なのか、叫びなのか?その苦悩が明治の文豪の心を揺さぶったのか?

私は全然揺さぶられなかった・・・
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