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町へゆく道

「わたしたちのすべての昨日」に続く、Natalia Ginzburg 。今回は、中/短篇集。

4896425006町へゆく道
ナタリーア ギンツブルグ Natalia Ginzburg
未知谷 2016-07

by G-Tools

ヴァレンティーノ 1957年
射手座 1957年
町へゆく道 1942年
短篇 (母親/不在/海辺の家)

変わらず家族の物語。普通の人々の現実の暮らし。『わたしたちのすべての昨日』とどこが違うのか?と云われそうだ。灰色の風景、淡々とした低い口調、装飾のない写実ばかりの硬い文章、主張しない語り手。だが一旦その空気に馴染んでくると、そこには何か強い光を放つ人間たちが存在していることに気づき、気づいたときには、物語の中にどっぷりと浸かってしまう。彼女の遠い声は、ガラスに隔てられたかすかな声に聞こえるが、声に出さない叫びがガラスを振動させているようだ。

これ程の低音重奏を奏でることができる作家は、私にとってはNatalia Ginzburg だけだ。 Natalia Ginzburg を読んだ須賀敦子さんが、これこそが自分の書きたい文体であると思ったというが、もしも私が書く人であったなら、こんな文章を書きたいと思う。静かだが、じっと周りを観察し見守ること、そして本当に書きたい事はそっとしまっておく。

今年は Natalia Ginzburg 生誕100年の記念すべき年だそう。『ある家族の会話』が最もよく知られていることには間違いなく、それ以外の本は手に入れにくいのかもしれないが、どーぞ未知谷の三部作を手に取っていただきたい(回し者ではない)。さて、残るは第一集『夜の声』のみ。
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