Entries

第三の魔弾

正直なところ、世間の煽りに反して、レオ・ペルッツは今一つ私にとっては、引っかからない作家だ。リベンジも4冊目になったが、さてさてこちらはどうなんだろう?
「最後の審判の巨匠」
「夜毎に石の橋の下で」
「ボリバル侯爵」

4560072019第三の魔弾 (白水Uブックス)
レオ・ペルッツ 前川 道介
白水社 2015-07-08

by G-Tools

神聖ローマ帝国を追放され、新大陸に渡った“ラインの暴れ伯爵”グルムバッハは、アステカ国王に味方して、征服者コルテス率いるスペインの無敵軍に立ち向かった。グルムバッハは悪魔の力を借りて敵の狙撃兵ノバロの百発百中の銃を手に入れるが、その責を問われ絞首台に上ったノバロは、死に際に銃弾に呪いをかけた。「一発目はお前の異教の国王に。二発目は地獄の女に。そして三発目は―」騙し絵のように変幻する物語、幻想歴史小説の名作。

既読の3冊はそれでもヨーロッパを舞台にしているが、今度は南米に飛ぶ。16世紀のメキシコ??プラハのユダヤ系作家、レオ・ペルッツ(1882-1957)。私の一番の誤りは、いまだに彼が幻想作家であるという幻想を抱いていることかもしれない。19世紀の終わりから20世紀の前半を生きた作家で、東欧を経由し、ナチスの台頭とともにテル・アヴィヴへ移住した彼にエンタテイメント作家の冠をかぶせるなどということが出来ないのだが、でも実はそうなのよ(世間から反論されようが・・・)

エンタテイメント故、その構成はなかなか。まず主人公たるグルムバッハの祖国はドイツ。彼はプロテスタント側。新大陸に渡ったグルムバッハたちはアステカ帝国のインディオたちと友好的な関係を築く。対するは、コルテス率いるスペインはカトリック勢力。グルムバッハは、虐げられているインディオの娘をスペイン人から救おうとして、片目を失い顔に見るもおぞましい傷を負う。グルムバッハは、現皇帝カール5世の父、ボー・プランスことフィリップ公の落胤の一人なのだが、スペイン軍の中にモール人の血を引グルムバッハく異母兄弟がおり、これが何とも美しい男性で、女性たちを虜にする。その美醜相反する異母兄弟たちが、命を助けたインディオ娘を巡って、皮肉な運命をたどる。新大陸の財宝がヨーロッパの皇帝に渡ることを絶対阻止するべく、グルムバッハはコルテス軍に向かっていくのだが、呪いをかけられた3発の銃弾が運命を分かつ。グルムバッハの最期はなるほどなオチだけど、消化試合のように読んでしまったツケとして、完了しただけでふーーーとなってしまった私。

半分くらいまで頑張ってみたが、挫けてしまったのが、悪魔が登場した場面。グルムバッハもコルテスも、目的のために悪魔と契約を結んでいるのだが、モノのたとえとしての悪魔ではなく、本当に悪魔が登場した!しかもこの悪魔、ちょっと頭が悪いくて、間抜けときている。悪魔とか悪者とかって、カッコイイことが第一条件の私には、ここで笑いながら、興醒めしてしまった。
その2. swear wordsの類の邦訳がいまいちだった。ペストにでも罹ってしまえ!というような言い回しが何度もでてくるが、想像するに、これはswear wordsかと思われる。難しいところなんだろうが、くどい(笑)

まあまあ・・・・ これだけ乗れずに終わっても、まだ未読があるレオ・ペルッツ。スウェーデンの何とかとか、ペテロがどうしたとか、そして気になるのが、法政大学出版局の叢書・ウニベルシタスから出ている『ウィーン五月の夜』。きっとまた登場するってことは自分でもわかっているのだが。
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://besideabook.blog65.fc2.com/tb.php/724-19814092

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

Calendar

<
>
- - - - - - -
- - - 1 2 34
5 6 7 8 9 1011
12 13 14 15 16 1718
19 20 21 22 23 2425
26 27 28 29 30 - -

全記事

フリーエリア

フリーエリア