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The Crossing

「The Burning Room」で引退してしまったBoschが心配で(笑)、結局次作に手を伸ばした。これは2015年出版。これでとうとう残すところ昨年2016年に出た一冊を残すのみだが、こちらはまだマスマーケット版がでていない。ということで、目出度く最新号にキャッチアップと相成った。

1455524158The Crossing (A Harry Bosch Novel)
Michael Connelly
Vision 2016-10-25

by G-Tools

引退した(させられた)Boschは予想どおりだった。仕事がなくては生きてゆけないんだな。そこで舞い込んできたのが、義兄弟リンカーン弁護士のMickey Hallerからの協力依頼だった。この引退後初となる「The Crossing」は両者の共演だ。Mickeyの弁護人は前科もある厄介者だが、Mickeyはこれが冤罪で、”はめられた”と確信していた。その申し出にもろ手を挙げて飛びつくBoschではないのが、Boschらしいとでもいうのか、引き受けるまでに捜査資料を読み、あーだこーだと理屈をつけ(笑)、なかなか”やる”とは云わない。

弁護士と刑事のスタンスの違いというものが、今回随所にでてくる。Boschにとっての使命とは、事実をつきとめ犯人を見つけ出すことであり、弁護士は弁護人が無罪か有罪かではなく、有罪であってもより有利な判決をもぎとってくることで、そのための技術というのは、ひたすら真っ直ぐなBoschのそれとは大きく異なる。BoschにとってMickyの仕事を引き受ける理由は、弁護人が免罪であり、真犯人は別にいるという確信なんだなあ。

さて、こうして真犯人捜しを始めたBoschだが、警察バッチがあるとないとでは勝手が違う。警察だと思えばこそ、市民は話をするわけで、怪しまれたら操作もままならない。そして彼がどんな時でも何よりも大事にしている捜査ファイルはもう入手できない。警察のデータベースにも当然アクセスはできない。そこで頼りにしたのが、前回「The Burning Room」でパートナーだったLucia Soto。それにしても、バッチなしでも真実を突き止めるためなら、とことん走るBoschだが、彼の行動は民間人(一応弁護士に雇われたPrivate Detectiveという免許はあるにせよ)のそれとは明らかに違い、読んでいる私がハラハラするほど危なっかしい。警察でないとしたら、これはもう犯罪スレスレってところ。案の定時折問題も起こしては、Mickyが尻拭いをするという羽目になる。それにしても、MickyもBoschのことはよくわかって認めており、腹の割った関係だからこそ二人の関係は成り立つわけで、誰もかれもがBoschのやり方にはついていけないし、普通だったらブチ切れる。ケンカスレスレの問答にちょっとハラハラもするが、お互いマイペースなことは共通なわけで、読んでいる私としては、その会話が結構面白かったりする。今まで以上の二人の会話が多かったのが印象的で、そこが新生Boschシリーズ。それにしても、警察バッチがなくなってあらためて眺めるBoschはやはり常人とはチト違う人種だと私も実感した。

しかし、途中で私も気づいたが彼も気づくのだな。。。つまりバッチがない悪い面だけでなくいい面もあるってことに。まずBoschがもっとも苦手としていた組織人として動かざるをえないこと、これがなくなる。上司への報告もしなくていいし、書類の類も一切不要。上からの理不尽な命令もない。この手の面倒な(そして無駄な)ことから一切自由に捜査ができるのであった。やったあ・・・

引退後のBoschシリーズだからなのか、今回少々以前とは異なり、犯人は早い段階で登場していた。警察内部の人間だった。Boschがそこに行き着くのは後半になるが、その間読者はその影で暗躍している警察内部の犯人の行動を見せられて、ハラハラ、イライラさせるという手法。今後もこんな風になるのかしらん?

てなことで、引退後初の仕事は無事完了した。第二弾は去年発売になっている「The Wrong Side Of Goodbye」だが、マスマーケット版待ちなので、しばらくBoschの新刊は読めない。それと、キャッチアップしてしまったからには、今後は年一度のペースでしかBoschにはお目にかかれないことになった。
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