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天界の眼: 切れ者キューゲルの冒険

「宇宙探偵マグナス・リドルフ」がえらく気に入ってしまったので、ジャック・ヴァンス・トレジャリーシリーズの第2巻を、古本を待たずに新刊書店でつい買ってしまった。我慢できなかった。

4336059217天界の眼: 切れ者キューゲルの冒険 (ジャック・ヴァンス・トレジャリー)
ジャック・ヴァンス 中村融
国書刊行会 2016-11-25

by G-Tools

快男児キューゲルのゆくところ、火のないところに煙が立つ!行く先々で大騒動を巻き起こす、自称切れ者キューゲルの奇想天外・荒唐無稽なる大冒険を描く至福のピカレスク&コミック・ファンタジー。舞台は数十億年先のはるかな未来の滅びゆく地球、科学が衰退し、魔法が復活した世界。“笑う魔術師”イウカウヌから命じられて、天界を映しだす魔法の尖頭を探す羽目になり北の地に飛ばされたキューゲル、彼は無事に届けて憎き魔術師に復讐することが出来るのか?襲いかかる食屍鬼やネズミ人間、絶世の美女ダーウェ・コレムとの出会い、“森羅万象”をめぐる100万年規模のドタバタ、“銀の砂漠”の壮絶極まる踏破…華麗なる小悪党にして稀代の無責任男キューゲルが大活躍する奇想と爆笑に満ちた連作全7篇を収録。

マグナス・リドリフの次は、キューゲルなる野郎だが、最初はあれ?ってな感じでなんだが物語についてゆけず、7篇が連作になっているということも理解しておらず、最初の2篇くらいは無為に読み過ごしてしまった。だってまさか、キューゲルがこんなヤツだとは思っていなかったし、設定されている世界はどうにもこうにも想像不可な世界だし。が、そうなんだ、とわかった瞬間、ああ、これもジャック・ヴァンスだ、とわかった。”切れ者”って云うから、どんなにかスマートな男なんだと期待させておいて、”切れ者”は自称であって、自他ともにではなく、自分だけが名乗っている切れ者だった。

自称切れ者は、見た目はかなりイイ男らしい。が、自惚れが強い分、詰めが甘い。女に目がない。女で失敗する。飽きっぽい。策を弄して、墓穴を掘る。いうなれば小悪党なのだが、自業自得というあたりが何とも可愛く、根本的には間抜けという見事なキャラ作りだ。笑う魔術師”イウカウヌによって飛ばされたキューゲルが行くところは、奇奇怪怪な生物が住む魔物と魔法がうごめく場所で、なにやら想像しきれない魔界で、訳が分からない。が、訳が分からないが故に楽しい。どうも舞台設定は、数十億年先のはるかな未来の「滅びゆく地球」。科学が衰退し、魔法が復活した世界らしい。

訳者が「あとがき」でこれは、「スチャラカ珍道中もの」と名付けていたが、言い得て妙で、膝を叩いてしまった。まさしくスチャラカだった。小悪党は魔法の取得も中途半端で、彼なりに頑張り魔法を獲得すべく奮迅するのだが、いかんせん脇の甘い小悪党なので、キメの場面で呪文を間違えたりする。逆さまの呪文は逆さまの魔法になり、あれぇぇぇ----ってな感じになる。そしてどうにも器量不足の主人公に対し、ジャック・ヴァンスが用意したエンディングはあっぱれだった。そうはいっても大団円で締めくくるのかと思いきや、修業が足りぬキューゲルは再び、遥か彼方に飛ばされる。スチャラカ騒ぎの後に、一抹のペーソスを残して終わるヴァンス、見事だ。同情できない主人公に対して、読者の想像の上をいくお仕置きを用意されてしまった。でもヤツはそんなことにめげたりはしないのだろうな。

ジャック・ヴァンス・トレジャリーシリーズは第3巻まで予定されている。また新刊で買ってしまいそうだ。
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