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ホーソーン短篇小説集

先日「緋文字」を読んだときに、未読棚にはこんな文庫本があったことを思い出した。緋文字に至るまでのホーソーン歴の方が圧倒的にインパクトが強くて、緋文字で初めて、ホーソーンてそもそも・・・を知ったのだった。で、よくよく気づくと、この短篇集はかなりダブリがあったが、まあ、気にせずあらためてホーソーンに取り組もう(だって、読んだそばから忘れちゃうし)
4003230434ホーソーン短篇小説集 (岩波文庫)
ホーソーン 坂下 昇
岩波書店 1993-07-16

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僕の親戚、メイジャ・モリヌー
ヒギンボザム氏の意外な破局
ヤング・グッドマン・ブラウン
ウェークフィールド
白の老嬢
牧師の黒のベール
石の心の男
デーヴィッド・スワン
ドゥラウンの木像
雪少女
大いなる岩の顔
フェザートップ
アリス・ドーンの訴え


人面の大岩 (バベルの図書館 3)  で読んだものとそこそこだぶっていた。そして意図せずして、再読しない私が、ウェークフィールドだけは、3度目の再読になっていた。 私のせいなのか、翻訳のせいなのか、何だかちょっと味わいが違って感じるなあ。

「緋文字」を読むまでは、ホーソーンのバックグランドにはとんと興味がなく、ちょっと暗くて幻想的なアメリカの古典くらいにしか思っていなかった。でも結構面白く読んでいた。「緋文字」卒になった今、改めてホーソーンを読んだら、彼の生い立ち抜きにして、やっぱりホーソーンは語れないのかもしれないと思えてきた。ボストン近郊セイレムに生まれ育ったホーソーンの先祖は、忌まわしい魔女裁判に関わって(裁く側)いたという歴史から、彼は生涯逃れれることはなかったのだろう。この短篇集は「緋文字」より以前、若かりし頃に書き溜めた短篇だというが、そのセイレム色が嫌というほど、溢れている。そうか、こんなだったのか・・・というのが、新たなる発見になった1冊だった。初期ピューリタニズムには、アメリカ的な”富と勤勉のピューリタニズム”とは程遠い、ユートピアニズムとテロリズムが表裏一体となった闇の歴史だったという。厳格な信条は、異端を許さない排他性があったし、信条に反するものを隠すことで、かえって捻じれた人間性を生むことにもなる。

そう、どの短篇もピューリタニズムが満載だ。でもホーソーンの凄いところは、そこからさらに純粋に物語の面白さがあるってところだ。緋文字が出版されたのが44歳くらいで、それ以前の20年間で100篇もの短篇を書いている。早熟の天才だ。天才ぶりというより、その若さで、この構成でこの不穏な空気の漂う作品を書き上げていったという精神構造の方が興味深い。幻想的で美しいのに、裏には必ず悪意が潜んでいるような感じなんだな。

さて、下はボルヘス編纂の「バベルの図書館 - ナサニエル ホーソーン,」からの引用。
彼が死んだのは1864年春の、ニューハンプシャーの山中でのことである。彼が夢想し、その死によって完成または消滅した物語を想像してみることをわれわれに禁じているものは何もない。だがそれはそれとして、彼の全生涯は、ひとつらなりの夢であった。 
ボルヘスの言葉を理解できるなど、100年早いが、今回この短篇集を開きながら、改めて、「バベルの図書館」の方もパラパラとめくり、そしてボルヘスによる序文を読み直してみた。3回は読んだ、でも、最後のボルヘスの言葉が全然わからない。ホーソーンが夢想していたものって何なのだろう??
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