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タブッキをめぐる九つの断章

こんな本がでていて、驚いた。

490798622Xタブッキをめぐる九つの断章 (境界の文学)
和田 忠彦
共和国 2016-12-23

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須賀敦子さんの後を継いで、最近では和田忠彦氏がタブッキの本を翻訳してくれている(感謝、感謝)。タブッキがこの世を去ってから早5年。この本は、新聞・雑誌、展覧会カタログに発表されたエッセイや、翻訳された本のあとがきをまとめたものだから、たぶんほとんど既読なのかもしれないが、なんせ、タブッキの本は面白くて好きなくせに、そのことだけは覚えていて、中身はキレイに忘れていくから、初めて読んだ気になってしまった。ただ、タブッキと和田氏の対談というものがあって、これはおそらく読んでいない。まるでタブッキが生き返ってきたような錯覚にとらわれ、なんだかちょっと嬉しくなった。

タブッキのミニマリストぶりは、どの本を読んでも??が飛び交うほどで、文字に描かれていないことを読んで感じるには、1度や2度読んだくらいじゃダメだろうから、再読をすべきなんだろうけど、相変わらず出来ていない。タブッキがそうなのはよいとして、和田氏もまるでタブッキが乗り移ったような文章をここでは披露してくれている。禅問答のような会話をタブッキと出来るだけで、私なぞはもう和田氏を尊敬してしまった。

本を書いて出版する以上、人に読んでもらうことを想定しているのだろうが、この本については、和田氏が自分の為に書いたとしか私には思えない。死してなお自らの中に生きる最愛なるタブッキへのオマージュとでもいうか・・・そして、私のようなファンもまた、こうやってタブッキのことを時折思い出し、感慨に浸るわけだ。そして和田氏がいる限り、まだ日本に紹介されていないタブッキの作品が出版されることを期待してもよいのだと、嬉しくなった。

そんな再読もしないくせに、ファンを名乗る私がしっかり覚えていたのは、この一文。
「あの島々がまだあるのかどうかもわかりませんが、おそらくあるのでしょう。地図を眺めていると、よく見かけますから。」 
『ポルト・ピムの女』 邦題は「島とクジラと女をめぐる断片」 より。Tabucchiはこの本を書く際にアソーレス諸島を訪れて以来、その後一度も再訪しなかった。私が最初に出会ったタブッキがこの本だ。いつかこの本を抱えてアソーレス諸島を訪ねることができるだろうか?
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[C513]

「島とクジラをめぐる断片」をよんでアソーレス諸島に思いを馳せました。彼はその後訪れなかったのですか…いつか行ってみよっと!
  • 2017-04-27 12:52
  • mAr
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[C515]

未だに日本からポルトガルへの直行便はないはずなので、そこからさらに大西洋沖1000km先にあるアソーレス諸島は遠いですよ。その昔は捕鯨基地だった島だとか。10年近く前に一度調べたときには、どうやって行くのやらと思ったものですが、その後僻地オタクはいるようで、だいぶ日本語でも訪問記がヒットするようになっています。
  • 2017-04-28 11:50
  • Green
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