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復讐には天使の優しさを

この本でおそらく日本で刊行されたIsak Dienesen もしくは Karen von Blixen-Finecke 、もしくはカレン・ブリクセン、もしくはイサク・ディーネセン、もしくはアイザック・ディネーセンの本は最後だと思う。これだけ日本語表記がばらつつと、検索するのも大変。
彼女は私にとっては世界三大小説家(あとの二人が誰だか不明だが)として君臨している。どの作品も本当に好きだが、この『復讐には天使の優しさを』 をいまだにとっておいたのは、勿体無いからというより、邦題のダサさ(失礼!)故である。何だか陳腐なラノベみたいで、いまだに不満だ。

4794913451復讐には天使の優しさを (ディネーセン・コレクション 4)
アイザック・ディネーセン 横山 貞子
晶文社 1981-12

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ちょっと意外な本だった。これは第二次大戦中故郷デンマークで別人名義で出版された本らしい。ストーリーを見ていくと、なるほど、”復讐には天使の優しさを”なのだが、ちょっと甘々のエピソードもあり、登場人物は若くて美しく、賢い女性二人で、何だか読んでいる私は気恥ずかしいのだが、それでもハラハラドキドキが続くものだから、ベタだなあ・・・と思いつつも、どうも先をせいて読んでしまう。少女の物語は、子供の頃に通り過ぎる、「小公女」だとか「あしながおじさん」とか何なら「家なき子」を夢中で読んでしまう感覚にも似ている。

最後は見事なHappy Endで、まるで中世のお姫様物語のようだった。ディネーセンなんだけどな、ディネーセンなんだけどな、とずっと唱え続けながら読んでいたが、そうはいっても結末が気になるものだから、ずいずいと読まされてしまう。復讐相手である悪魔の牧師も結構よいし、ルーカンとゾジーヌという二人の主人公たちも、貧しい出自と裕福な出自、性格も正反対ながら揺るぎない友情は途切れることがない。見事にベタベタな設定だが、稀代のストーリーテラーに手にかかると、やっぱり面白いのよね。

ナチス占領下で正義と自由への願いを込めたディネーセンのメッセージであるともいうこの本。発売時には本名を伏せての発刊であったが、デンマーク国内でベストセラーになったらしい。今私が読んでしまうと、甘くてちょっと気恥ずかしい少女物語だが、息を殺して生きている人々には、希望と勇気を与えてくれた本だった。

彼女の作品は最後だと信じていたが、ググってみたら、未読の作品が一冊見つかってしまった。
ノルダーナイの大洪水 (1970年)
なんだこれは?と思ったが、天下のAmazon様にも古書とあるだけ。ポチッと押した(当然)。
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[C528]

私もブリクセンはお気に入りの作家で、翻訳されている作品のほとんどは読んだ気がします。初めのうちはブリクセンとディネーセンとが同一人物とは知らずに、同じ作品が含まれている両名義の短篇集を読んで、「何だかすごく似た話を読んだような気がするが変だな」と思った記憶があります。
ところでコペンハーゲン郊外にあるブリクセンの生家(そして亡くなった家)が現在カレン・ブリクセン博物館として公開されています。市の中心から郊外電車で30分程度なので、もし興味があれば一度訪問されてはいかがでしょうか。

[C529]

私、「作家の家 創作の現場を訪ねて」という、写真集ながら文章も充実している本を持っていて、
https://www.amazon.co.jp/%E4%BD%9C%E5%AE%B6%E3%81%AE%E5%AE%B6%E2%80%95%E5%89%B5%E4%BD%9C%E3%81%AE%E7%8F%BE%E5%A0%B4%E3%82%92%E8%A8%AA%E3%81%AD%E3%81%A6-%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%82%AB-%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%A2%E3%83%AA-%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AC/dp/4890136282/ref=cm_cr_arp_d_bdcrb_top?ie=UTF8
そこにブリクセンも登場しています。
そこは博物館になっているんですね。対岸からスウェーデンが望めるらしいですね。嗚呼行ってみたいです。


  • 2017-07-09 07:25
  • Green
  • URL
  • 編集

[C530] X^2

すでにご覧になったかもしれませんが、一応Karen Blixen博物館のホームページリンクはこちらです。
http://blixen.dk/?lang=en

[C531]

いえ、見ていませんでした!
私の持っている写真集の比ではないです。HPの方が写真も内容も満載。庭の写真まであって素敵です。
ありがとうございました。

  • 2017-07-13 21:56
  • Green
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