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コンラッド短篇集

Joseph Conradはずっと生粋のイギリス人だと勝手に思っていたら、生まれは現ウクライナ、父親は没落したポーランド貴族、捕らえられた父親とともに、シベリアへ送られる。そしてまだ子供の頃、両親ともに亡くしたコンラッドは16歳にして船乗りとなり、各地を巡り、そしてイギリスに帰化する。彼にとって英語は学んだ外国語だ。このアウトサイダーとしての立場は、コンラッドを読むうえでは大切は情報だと思う。そして世界の名だたる作家連中がしばしば言及するこのJoseph Conradは、私にとって一度読まなくちゃ作家だった。

4003224868コンラッド短篇集 (岩波文庫)
コンラッド Joseph Conrad
岩波書店 2005-09-16

by G-Tools

コンラッドと云えば、『闇の奥』、コッポラが監督した『地獄の黙示録』の原作が、一番有名だが、それは飛ばして、短篇あたりから入ってみることにした。映画と原作は違うにせよ、『地獄の黙示録』の原作者と云われると、イギリス古典文学のイメージとはえらくかけ離れている。ポーランド生まれと云われてみても、まだピンとこない。

「エイミー・フォスター」
「ガスパール・ルイス」
「無政府主義者」
「密告者」
「伯爵」
「武人の魂」


コンラッドは、主に海洋冒険小説と政治小説・歴史小説を残したということだが、コンラッド初心者の私が感じたのは、政治や冒険や歴史をバックにしていても、そこに登場する人物の心理描写のインパクトの大きさ。そして何よりも、恐怖を描くのがとても上手い。

恐怖の筆頭は、「伯爵」。最後に二度とナポリに戻らないというのが怖すぎ・・ 「エイミー・フォスター」 も愚鈍そうな赤ら顔の女が得たいの知れない漂着者に優しく接するのだが、最後は幸せにならないというのが、愚鈍に秘められた恐怖。南米を舞台にした「ガスパール・ルイス」 などは、映画になってもいいようなエンタテイメント性もある。と、この3つが好きだった。

コンラッドに対する評論は時代を経て、実に様々な論議があるそうで、読みごたえのあるストーリーテラー的側面もさることながら、これだけじゃないよね、と思わせる深さがある。それが何なのかと云われても私にもよくわからないが、こうも読める、ああも読めるという奥の深さが面白いところなんだろう。でも面白いわりにその深さのせいなのか、意外にも読んだ後疲れる(笑)。

コッポラが監督した『地獄の黙示録』は映画は見たが、きっとこれはコッポラ流になった『闇の奥』であろうから、原作を読んだらちょっとたまげてしまうかも知れない。眺めながらいまだにポチっとしていないのは、コンラッドは暇つぶしに読める作家ではないことはよ-くわかったからなのだが。。。
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