Entries

モーテル・クロニクルズ

先月27日、サム・シェパードが亡くなった。まだ73歳だった。彼の悲報を聞いて、あ~サム・シェパード・・・と思ったのに、なぜサム・シェパードが私にとってちょっと特別だったのか、いまだに思い出せない。思い出せないが、気になるので、彼の本を調べてみたら、これが見つかった。

4480830863モーテル・クロニクルズ
サム シェパード 畑中 佳樹
筑摩書房 1986-10

by G-Tools

サム シェパード私は俳優としての彼しか知らなかったが、劇作家でもあり、1979年には戯曲『埋められた子供』でピューリツァー賞も受賞している。彼が出演した映画一覧を見たが、特に映像の中の彼の印象はない。唯一といっていい情報は、ジェシカ・ラングの旦那だよね、ということ。でも顔はすぐに思い出せた。多分こういうタイプの顔好きなんだろうな。というか、この顔以外のサム・シェパードが思いつかない。

彼が脚本を書いた「パリ・テキサス」は、ヴィム・ヴェンダース監督がこの本を読んで映画の着想を得て、サム・シェパードに脚本を依頼したらしい。この本、自叙伝と呼ぶにはあまりにもノンフィクション色がなさすぎる。散文と詩、そして数枚のモノクロ写真、1978年8月から1982年5月までのたった4年間のエッセイだ。この時期彼は何をしていたかというと、劇作家としての活動に加え、映画への出演がり増えた時期で、サンフランシスコ郊外の自宅とテキサスやシアトルの撮影現場との間を行ったり来たりするモーテル暮らしが続いていたらしい。

日々の暮らしというよりは、極めて内省的な色合いが強い独白、そして彼を知らない人間にとって、その独白が実際何を意味するのか推し量るのも難しいような文章。クロニクルズといいながら、収められている断片は時系列に並んでいなくて、それがなおのこと、難しさに拍車をかけている(まあ、敢えてそういう構成にしたんだろうが)。エッセイの後に時折挟まれる詩は明らかに、そのエッセイのことなのだということはわかるが、詩の方がかえってダイレクトな表現のように感じたのが、ちょっと不思議だった。でもこれって、どう見てもロードムービーだよな。

決して非難しているわけではないのだが(笑)、どちらかと云えば体制派に属さない彼にあってさえ、この本はアメリカの匂いがプンプンする。大都会ではないアメリカ、陽光降り注ぐアメリカではなく、寂れたモーテルに汚い安酒場に荒涼とした砂漠が広がるアメリカだ。NYやLAの究極にあるようなアメリカだが、そこはずっしりとアメリカだ。

・・・だから、サム・シェパードはやっぱりカッコいいのだけれど、アメリカが苦手は私はこの本が醸し出す匂いはすっごく好きにはなれない。
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://besideabook.blog65.fc2.com/tb.php/764-26d33f77

トラックバック

コメント

[C532]

「荒涼とした砂漠」のイメージって大好き。メキシコやサハラのそれにはロマンを感じるのよね。
なのにアメリカのその風景になると、なんかお芝居っぽいイメージがあって・・・(笑)
  • 2017-08-21 09:09
  • mAr
  • URL
  • 編集

[C533]

同意いただいてウレシイです!


  • 2017-08-23 12:48
  • Green
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

Calendar

<
>
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 78
9 10 11 12 13 1415
16 17 18 19 20 2122
23 24 25 26 27 2829
30 31 - - - - -

全記事

フリーエリア

フリーエリア