Entries

山師カリオストロの大冒険

All Reviewsなるサイトを鹿島茂氏が立ち上げたらしく、最近毎日見ている。これは、インターネット書評無料閲覧サイトで、活字メディア(新聞、週刊誌、月刊誌)に発表された書評を再録してくれるものらしい。書評のアーカイブですね。もちろんサイトそれ自体が存在することが凄いのだけれど、さらにいいのは、過去にまでさかのぼってくれるところ。既に逝去された方のレビューであっても読むことができる。澁澤龍彦氏や、米原万里さんの書評もある。この種村季弘氏の本の書評を書いたのが、同志(?)澁澤龍彦氏。今となってはもう実現できない豪華コンビ。

4006020678山師カリオストロの大冒険 (岩波現代文庫)
種村 季弘
岩波書店 2003-03-14

by G-Tools

私の読書感想文など読んでも仕方ないので、「山師カリオストロの大冒険 (岩波書店)」に飛んで、澁澤氏のお言葉を読んでください。で、以下は蛇足も蛇足。

そもそもカリオストロと云われ、ルパン三世のカリオストロ伯爵か、モーリス・ルブランの「カリオストロ伯爵夫人」しか浮かばない私には、この本はまだ早かったのだ。 種村季弘氏を知らぬわけはないが、彼の魔術、神秘学研究をぶっ飛ばし、評論をぶっ飛ばし、彼の翻訳したドイツ文学を少々読んだくらいの若輩者には、そもそもが恐れ多かった・・・と読み始めてすぐ反省したが、反省は反省として、とにかく最後まで読んだ。

カリオストロ伯爵は、本名ジュゼッペ・バルサモ、シチリア出身の稀代の詐欺師。貧しい家の生まれで、手の付けられないほどの不良少年で故郷にいられなくなって逃げ出したらしい。時は18世紀、フランス革命の御時代だ。カリオストロは医師、錬金術師、山師などいくつも肩書があるが、偽名を使いヨーロッパ各地を放浪し、どうも人心術に長けた人のようで、上流階級に紛れ込み、金持ちから金を巻き上げていた。但し、巻き上げるだけではなく、貧しいものには無償で医療を施し、おまけに金銭まで与えて帰したというから、一時的には人民に物凄く人気があったりするが、似非医療や似非錬金術がばれそうになると、すたこらと次の地へ逃げたので、同じところに3年ととどまらなかったらしい。

カリオストロが紛れ込んだ上流階級の最高峰は、時のフランス王室、ルイ16世の御代だ。そこでかの有名な「首飾り事件」に関わったことによる。そもそもこの「首飾り事件」という事件を知ったのは、なんのことはない、漫画「ベルサイユのばら」を子供の頃にちゃんと読んだからで、漫画とはいえ、この「ベルサイユのばら」はその後、私の試験勉強や読書にどれだけ役立ったことか!今回も、首飾り事件の章は、まこと見事にスラスラと読めたのだった。事件の首謀者、ジャンヌ・ド・ラ・モットが事件には無関係だったカリオストロ伯爵を真犯人として告発したことから、事件に巻き込まれることになったのだが、結局カリオストロ伯爵は無関係として、後に釈放されフランスを追放された。追放後は、どうもパッとしない人生だったようだ。そして教皇庁のお膝元ローマでエジプト・メイソンリーのロッジを開いたことをとがめられ、逮捕され、異端審問にかけられたのち、1795年に獄死した。

嗚呼なんて人生。。。。彼の魔術も錬金術も医術も、どう見ても子供騙し。美顔水や若返り薬を作るからと金持ちのだが、あまり美しくないご婦人に近づき、研究費を出させ、金をもってトンずらするとか、小粒の真珠をかき集めて、超巨大な真珠玉を作り上げるとか、子供の悪戯のようだ。

と、この程度が私の感想だが、これだけだと本に失礼で、本当は(笑)、当時の代表的な知性ともいえるゲーテが、カリオストロの生家を訪ねて『イタリア紀行』に書きあらわし、彼をモデルにした喜劇『大コフタ』を作り上げるほどに心酔した理由とか、18世紀後半と云う大きく時代が転換した時期に人々がこの詐欺師に熱狂した理由----を読み解かなくちゃいけない。これがよくわかんなかったので、種村氏は私には早すぎた。
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://besideabook.blog65.fc2.com/tb.php/770-31a15a24

トラックバック

コメント

[C540]

蛇足も蛇足と謙遜されてますが、私にとってはありがたい記事でした。🤔この記事から、いくつもの事を調べました。とっても興味深いです。本の世界は果てしないです。

  • 2017-10-20 17:52
  • mAr
  • URL
  • 編集

[C542]

フィクションばっかり読んでいながら、こういう”事実は小説より奇なり”な本に出会うと、ついつい触手が伸びますねえ。
  • 2017-10-23 11:06
  • Green
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

Calendar

<
>
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 78
9 10 11 12 13 1415
16 17 18 19 20 2122
23 24 25 26 27 2829
30 31 - - - - -

全記事

フリーエリア

フリーエリア