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「悪党どものお楽しみ 」に続き、おそらく一番有名と思われるPercival Wilde の代表作を読んでみた。
ひと昔前の方だけど、本当に古めかしさがない。だから江戸川乱歩が好きだったと云われても、何だか時代が上手く噛み合わないような不思議な気持ちになる。今回は会話形式の部分と、供述調書の部分が組み合わされた構造。劇作家故なのか、こういう構成がホントに上手いなあと思う。
古き良き時代のニューイングランドでの検死審問の一部始終。売れっ子の老女流作家の誕生日に集まった面々、出版関係、親族、そして使用人たち。そこで起きる殺人事件。その事件にリー・スローカム閣下と陪審員たちが解明に挑む。事件とは関係のない田舎の陪審員たちの姿も可笑しいし、関係ないとはいえ、それがあることで冷たい法廷劇ではなく、何ともユーモラスな雰囲気を醸し出す。最後のどんでん返し、がさらにどんでん返しされ、至極気持ちのよい終了の仕方だ。最後まで読むと、いままでの脱線も含めた、エピソードや人物描写に実は意味があったんだと気づく (気づいてもう一度読むと、きっと面白いのだろう・・・) 読めば読むほど、作者が張った伏線にさらに気づく、ってなことも起きそうだ。
登場人物は若干多いが、AはBをこう語り、しかしCはBをこう語る、一方、BはCをこう語り、AはCをこう語る・・・という視点がくるくる変わっていく様も面白い。検視官もゆるゆるに自由に陪審員たちに喋らせる。検死審問といいながら、死体は登場せず、審議をダラダラと長引かせるのは、日当を稼ぐため。なんだこれ・・・そもそも本の出だしは、地元の芝刈り人の処世訓だったりする。売れっ子女流作家を三文小説とけなす評論家の話しも、当の女流作家が推理小説なんて認めないと発言させてみたり、小さいが洒落が一杯で、クスクスと笑える。
Percival Wilde 、上手いです!
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