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パラダイス・モーテル

ネットで評判をみているとすこぶるよい。喰わず嫌いの血が騒いでしまいそうだ。

4488070698パラダイス・モーテル (創元ライブラリ)
エリック・マコーマック 増田 まもる
東京創元社 2011-11-30

by G-Tools

長い三十年間の失踪の後に帰宅し、死の床に伏していた祖父が語ったのは、ある一家の奇怪で悲惨な事件だった。一家の四人の兄妹は、医者である父親に殺された母親のバラバラにされた体の一部を、父親自身の手でそれぞれの体に埋め込まれたという。四人のその後の驚きに満ちた人生とそれを語る人々のシュールでグロテスクな物語。ポストモダン小説を語る上で、欠くことのできない傑作。マコーマックの騙りの魔術の出発点。解説= 柴田元幸

ポストモダン小説って何?と思いながら、これまたネットでつらつら調べていたが、とんとわからなった。ポストモダン小説にカテゴライズされる作家たちを見ていたら、時代だけ区切れば私が読むような人たちってみなポストモダンなのか?とますますわからなくなった。あまり最近の英米作家の作品は読まないが、Paul Austerや(初期作品しか読んでいないが)村上春樹氏の路線に近いか?最近よんだ「異形の愛」も路線としては似ている気がする。決してグロテスクなことがウリではないが、殺害された母親の遺体を切り刻んで、子供たちの体内に埋めるという発想は、グロを通り越してシュールだな。が、読みやすいし、飽きずに最後まで一気にいける面白さはたっぷりある。

物語は、主人公が”パラダイス・モーテル”に滞在し、そこで海を眺めている独白から始まり、そして最後も”パラダイス・モーテル”で終わる。正確に云えば、最初と全く同じ場面で、物語は閉じる。祖父がパタゴニアで聞いた話を死に際に孫である主人公に伝え、その後、大人になった主人公は、身体の一部を埋め込まれたマッケンジー一家の4人の子供たちの一人ひとりのその後の人生を偶然(あまりにも)の出会いにより辿ることになる。4人の子供らの数奇な運命とその死様、妙に肉体描写が生々しい割には、血の通った温かさはなく、とても冷たいホラー映画のようだ。

最後のオチについては、賛否両論あるみたいだが、私は否の方かなあ。ポストモダン小説なので(笑)、通常の起承転結を期待してはいけないのかもしれないが、読者に委ねられたオチの意味は、作者にとってもどうにでも解釈してくれて構わないのだと、ポストモダン小説なので(笑)、私は理解している。が、すべては砂上の楼閣のごとく、サラサラと流れてしまったようでちょっと残念。まあ、最後まで読んでみると、確かに主人公以外の登場人物はみな幽霊のようであまり実態が感じられない。いや、主人公それ自体も幽霊みたいだ。虚実の境目を追求しないのがポストモダン小説(笑)。

それでも個々の子供たち4人の物語はそれぞれ、興味深く面白い。特に「自己喪失者研究所」なる一種の精神治療施設は、医者が代わりのペルソナを作り、それを新たな記憶として埋め込むというのが好き。そうか・・・・ 私の解釈はこうだな。
パラダイス・モーテルで佇む主人公がいるのは、実は自己喪失者研究所であり、主人公は自己と記憶を失っており、彼のために新たに作られた記憶が、このマッケンジー一家の物語で、最後に登場する作家になった一家の長男が、実は主人公であった。

と喰わず嫌いを気取ってみたが、その実エリック・マコーマックの別の作品を既にポチッたのである。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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