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草枕

何故、夏目漱石なんて読んだのだろう?と自分に今更聴いてみたが、よくわからない。
漱石は既に版権が切れているので、青空文庫でいくらでも読める。もちろんハードコピーの本を探しても、実に様々な本があるわけだが、この青空文庫のバージョンは新字新仮名といいながら、高校時代の教科書のように、まあ、難しい漢字が沢山ある。時代というよりも、これは漱石のペダンティック思考のせいか?

B009IXKOFQ草枕
夏目 漱石
2012-09-27

by G-Tools

出だしは有名なこれである。
智ちに働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
多分、高校生の頃読んでいる。人並みに漱石の本は10代で何冊か読んでいる。「こころ」なんて何を思ったか、中学生で読んで衝撃を受けた(三角関係の痴情のもつれは中学生には激震だな)。草枕には好印象だけが残っている。但し、この出だししか覚えておらず、ぼんやりとエッセーもどきのとりとめのない随筆だと思っていたら、一応粗筋があって、しかもまたちょっと意味深な不倫モドキもあって、へえ~~と驚いた。人の記憶というのは本当にいい加減なものだ。

草枕とは、そもそも
家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る
の草枕。画工である主人公が俗世を離れて鄙びた田舎に旅をするのだが、画工といいながら、画だけでなく、詩(漢詩も)も嗜んでは、空を見上げ森に分け入り、思索をするのだが、どうも窮屈な俗世がよほど嫌だと思われる。時代はどうも日露戦争の頃らしく、明治の御代、欧米列強の追いつけ追い越せの西洋化まっしぐらの時代だ。イギリス留学を経験している漱石だが、猛烈な神経衰弱に陥った漱石は、早々に日本に帰国した。文豪と云われ、日本を代表する大御所作家のひとりである漱石、帝大を出て、英国留学まで果たした彼は、子供の私には、エリート中のエリートだったが、そうでもないのだな。つまりどうも彼は、西洋かぶれとは正反対の立場におり、「草枕」の中でも、西洋vs.日本論はしばしば思索されている。が、それでも留学派。西洋の芸術・文化・精神はひとしきり学んだと思われ、一方的な欧米批判ではないようだ。愛や自由や正義を唄う西洋の詩は、いくら詩になったとはいえ、世俗にまみれて金勘定をしているようなもので、東洋のそれはすべてを解脱した果てにある幽庵の世界らしい。

Wikiによると、「草枕」の英語版のタイトルは、『The Three-Cornered World』というらしい。要は常識という一角を排除し、三角の世界こそが、芸術のあるべき場所だと云いたいらしい。

昨年だったか、『こころ』が注目を浴び、漱石ブームが起きていたが、この「草枕」から滲んでくるのは、ちょっと陰湿で暗い漱石の心持だ。わかってみれば、常に葛藤と苦悩を抱えた精神と向きあうのが、彼の人生だったのかも知れない。知性だけがエリートなだけに、そのギャップは何ともアンバランスに見える。
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コメント

[C566]

ホント、漱石が出てくるとは(笑)
私も10代の時何冊か読んだけど、内容さっぱり覚えてないな。でも、文章がすごくうまくて内容わかんなくても、グイグイ読まされてしまったような印象だったな。だからこそ文豪なのかなって。内容覚えてないのに好きな作家のひとり(ん?へんかな?)
  • 2017-12-28 20:54
  • mAr
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[C567]

明けましておめでとうございます。
お返事がすっかり遅くなりました。

内容覚えていないのに好きは、私はよくあります。よく、いや、かなりあります。なんででしょうね??

  • 2018-01-04 10:09
  • Green
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