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東京の昔

まだまだ続く、吉田健一氏。
これって、彼が戦後若かりし日を思い出しながら、あーでもない、こーでもない、と回想した古き良き時代の東京下町に関するエッセイだと勝手に思い込んで読み出したら(途中までそうだと思って読んでいた)、ちょっと違う。フィクションはフィクションなのかもしれないが、それもまた何かがチト違う。大きな事件が起きるわけでもなく、淡々としたほぼ日常を描きながら、文体もさることながら、スタイルまで吉田節満載だ。何故なのか、何がなのかが未だよくわからないのだが、とにかく彼の作品は不思議だ。

B000J95WX2東京の昔 (1974年)
吉田 健一
中央公論社 1974

by G-Tools

舞台は昭和の初期、戦前だとか戦後だとかという概念さえなかった時代。本郷の信楽町(架空の地名)に集う仲間たち、主人公は定職はないがそれなりに小銭を稼いで、のんびり生きている。そんな風でも生きていけた時代であったらしい。下宿先にいるのはおしま婆さん、ご飯の面倒も見てくれたりする下町のおばさん。湯豆腐なんかを作ってくれちゃう。友達になった近所の自転車屋の勘さん、近所のおでん屋で知り合った帝大生の古木君、色々やっている実業家の川本さん。おでんを食べ、古木君を連れ銀座の書店をめぐり、ハイカラなカフェにいき、勘さんの手作り自転車を売ろうと試みたり、パリに憧れる古木君と文学やヨーロッパの話しをし、その彼をどうにかパリに行かせようと作戦を練り、そしていつもどこかで集っては酒を飲んでいる。そういえば吉田氏の神髄は酒だった。

吉田氏がこれを書いたのは、昭和40年代だと思うので、その時点で既に50年近い昔を振り返っているが、今読んでいる私にとっては90年以上の歳月の隔たりがある。昭和とはもうそんな昔になったのか・・・日本における西洋文化の見本市のような銀座であっても、下町本郷のおでん屋であっても、エリート帝大生も、自転車職人の勘さんも、話題にしても、プルーストや文明論も酒飲みの酒話しも湯豆腐も同軸にある。ここが一番好きな点かも知れない。この気負いのなさと云うのか、本質を見抜く目というのが好きなんだなあ。

まだ吉田健一は読み始めだが、表面的にはどれも日本、英国、ヨーロッパと比較文化論的な語りは多いのだが、その先には、距離と時間に関する考察があるような気がする。具体的に何なのかはもうちょっと読み進めて考えるとして、この人、飄々とした(性格はよくわからんが・・・)文体ながら、いつも少し離れたところから、今を眺めている。本書の中で、古木君と日本とヨーロッパの距離についてさんざ話しているのだが、その距離というのは、物理的距離だけでなく、心理的距離もあり、東京の中にいて感じるヨーロッパと実際にいる東京との距離もあり、それに絡まるのが時間。それを読みながら、不思議なことにそれ以上に感じていた距離は、吉田氏がいつも少し離れたところから世を見つめる、その世の中と彼の視線の距離だった。ずっと視線を感じるんだなあ・・・

吉田健一続行中・・・
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Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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