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三文紳士

Welcome Back! 英語本に時間を使い過ぎたので、一旦ここに戻ろう。なんだか、句読点が多いな、この本(笑)。句読点が多いと、あのウネウネ感も影を潜めてしまったようで、ちょっと淋しい。余談だが、読み終わるまで、タイトルは「三文文士」だと思っていたら、文士ではなく紳士だった。文士では洒落も何もない。

4061961527三文紳士 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)
吉田 健一
講談社 1991-11-01

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戦中・戦後を中心とした自伝的エッセイをまとめたもの。相変わらずの酒と喰いもの談義の他、祖父の牧野伸顕のこと、中村光夫、福田恆存といった仲間たちのこと、貧乏時代の可笑しな(可笑しく書いているだけかもしれないが)話しに、狸の皮算用で家を建てる話し、母のことと父のこともちょっと。今回はやや生真面目なエッセイが多い、もちろん何かというと酒を飲んでシャンシャンとなることは変わらない。

吉田氏の文章は名文と呼ぶのはチト憚られる。絶対に学校の教科書とか受験問題に採用されそうにない。名文というか美文ではないが、悪文というのではなく、個性と味があり過ぎる。彼の場合、執筆中の自分の思考の流れをまで含めて、つまりそういう思考の流れは表には出さないのだろうが、彼はそれも書いちゃう。照れなのかどうかはわからないが、そのちょっと斜に構えたような皮肉や、人によっては言い訳に聞こえそうな思考の流れも、元来のセンスの良さなのか、味になり力強さになってしまうんだな(依怙贔屓があることは承知している)。

そもそも大上段に構えてxx論を書くようなことは絶対にしない人である。それでいて、こういったエッセイ的なものも、どこか法螺が含まれているようにも思えるし、その法螺はユーモアなのか照れなのかちょっと私には判別できない。文士とは何だろう?と考えてしまう。それは今でいう文学者とイコールにしてもよいのかわからない。貧乏話しは面白おかしく書く癖に、この道で生きていこうと思い英国から日本に取って返して、その後何十年も文字と文章と格闘したはずだが、そういったことはちっとも書いてくれない。物理的な苦労話しは笑い飛ばしても、精神的な葛藤はしまっておくのか?文士というからには、士なのであろう、そして士は武士の士なんだろうな。文士が死語と化しているのは、現代では士の精神が失われてしまったからなのかもしれない。そしてこれもはっきりとは書いてくれていないし、意識的に心がけていたわけでもないのかもしれないが、彼は紳士であろうとした。そしてその紳士とはなんなのだろう?

最後にこれだけメモしておこう。
贅沢が嫌いで文学を愛するなどというのは見当違いも甚だしい。この世界には遊びしかないのであって、それを真剣な遊びだの、金掛けの遊びだのと称するのは、遊びということに対する後ろめたさから無駄口を叩いているに過ぎない (「本のはなし」より)

てなことを、つらつら考えさせられてしまったので、更に1冊吉田健一を読むことにする。
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