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年を歴た鰐の話

幻の名訳を完全復刻!
って云われたら、そりゃあ、買うわな。何が幻なのかというと、昭和十六年に櫻井書店から出され、戦後の二十二年に同書店から再刊された名コラムニスト山本氏の若き日の翻訳ということだ。昭和22年以降再刊されなかったのは、山本氏が一時期自らも属していたこの櫻井書店への忠義心であったとか。この山本氏も櫻井書店も私は全く知らなかったが、今回この気骨溢れる出版人の存在をはじめて知った。

4163221905年を歴た鰐の話
レオポール・ショヴォ 山本 夏彦
文藝春秋 2003-09-12

by G-Tools

タイトルと同じ、「年を歴た鰐の話」の他、「のこぎり鮫とトンカチざめ」、「なめくぢ犬と天文學者」の3篇。カバー付きの横開きの本。旧かな使い。ヘタウマのような白黒のイラスト付の絵本と云えば、絵本。なおあとがきの解説は、吉行淳之介に久世光彦に徳岡孝夫。この力の入れようが幻の名訳である所以だ。そして変。山本氏曰く、
ショヴォの作品は元来non senseなので、このnon senseは讀者に一人相撲をとらせ、知らず識らず、讀者の知慧の限界を露呈させる
この変な話しに意味を見出すと、己の馬鹿さが露呈するわけだ。そもそもそこには意味なんてないのよ~~と云われても、馬鹿な読者はやっぱり意味を見出そうとするのだろう。ちょっと知恵のある人なら、意味が欲しくなるだろうが、そこまで知恵がないとかえって、素直にすっきりと味わえるはず。

ピラミッドが建てられた頃から生きているこの年を歴た鰐は、歳のせいでリウマチを患い、満足に餌が取れなくなり、空腹になった鰐はなんと、曾孫を食べてしまう。それに気づいた曾孫の母、即ち孫娘に、
”このひとでなし”
とどやされ、家族の元を離れ、大海にでていく。と、ここが私の今回一番ツボにはまったところ。
”ひとでなし”って云われても、鰐じゃん。。。。山本夏彦のこの翻訳はどこでもかしこでも絶賛されているが、鰐に向かって”ひとでなし!”と云わせるのは、とんと思いつかなんだ。その後鰐は12本足も蛸と友達になり、新鮮な海の幸を毎日運んでくれる優しい蛸の足を、それがあまりにも美味そうだということで、毎夜1本づつ食べてしまい、最後に足を失くした蛸が動けなくなると、ついに頭まで食べてしまう。そしてポツリと云うのだ。
彼は彼女を、ほんとにうまいと思つた。けれども、食べるが否や、にがい涙を流した。
でも鰐は後悔なんて絶対していない(はず)。そして最後は、故郷に戻った鰐が日焼けした真っ赤な身体故に、神として崇められ、毎日生贄として若い娘を与えられる。なんだ、この鰐は結局美味いものを喰い続けて幸せなんだ、因果応報はないのか。いいな。

という調子で「のこぎり鮫とトンカチざめ」 と 「なめくぢ犬と天文學者」も展開されるのだが、笑う手前でちょっと躊躇し、顔が引きつってしまうようなノリだ。グリム童話のようなブラックとは違う。シュールというのともちと違う。変なのよ、兎に角、だからナンセンスと云われて私はホッとした。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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