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The Tiger's Wife

私が買ったのはこの表紙のハードカバー(だって、紀伊国屋でディスカウントされていたから・・・)。持ち運ぶにはデカイし、私の小さな手で支えるには重かった。
The Tiger's Wife Tea Obreht
The Tiger's Wife

これから買う方は、こんな表紙の¥898(Amazon JP価格)のPBがオススメ。
The Tiger's WifeThe Tiger's Wife
(2011/03)
Tea Obreht

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Tea Obrehtは元ユーゴスラビアのベオグラード出身。まだ25歳という若さながらデビュー作のこの本でOrange Prize for Fictionを取ってしまった(私は受賞前にゲットしたゾ!)。The New Yorker が選んだ注目の若手作家グループ 20 under 40 にも選ばれているし、本は現在絶賛発売中で、Obrehtは絶賛売り出し中。書評もなかなかの評判。

ストーリーはバルカン版マジックリアリズム。あのラテン文学の家族一代記や土着的寓話や魔術を彷彿とさせる。主人公は若い女医のNatalia、医療活動のため孤児院へ向かった彼女の元に、祖父の死の知らせが届く。祖父も同じく医者で、最後はガンを患っていて、それを隠しながら何かを求めて遠出を繰り返していて、誰も知らない、家族に所縁のない土地で死亡する。Nataliaは祖父が何を必死に探していたのか突き止めようとしながら、子供の頃、祖父と一緒に動物園にトラを見に行くという儀式めいた習慣のこと、彼がいつもポケットに入れていた「Jungle Book」(Rudyard Kipling作、読んだことないけど)の本の事などを思い出す。トラが大好きだった祖父。話しはNataliaの現在と、子供の頃祖父から聞かされた「Tiger's Wife」と「Deathless man」の話しの回想が交互に進んでいく。この2つの話しこそがバルカン版マジックリアリズムなんだけど、これが面白い。「Tiger's Wife」とは、肉屋の夫から虐待を受けているムスリムの聾唖の女性で、爆撃によって動物園から逃げだしたトラが村に迷いこみ、人々が恐怖におののくなか、その女性だけはトラの傍に寄り添い、村人からは「Tiger's Wife」と呼ばれ、恐れられ疎まれる。ユーゴの内戦と分裂の歴史のアレゴリーだろうと想像はできるけど、それがよくわからなくても面白い。

いくつかの挿話が絡むし、風景・情景描写が多いし(知らない土地を想像すると靄だらけになる)、バルカン固有名詞がかなり出てくるから、時々追えなくなるんだけど、それでも彼女の文章はとてもリズミカル。 ,(カンマ)とか ;(セミコロン)が多くて、文の途中の ,xxxxx, っている挟み込みも多いけど、字面の区切りが読むリズムと合って、私にはとても気持ちよかった。死ということばが沢山出てくるし間違っても明るい話しではないけれど、テンポは軽快(今風の軽い、というのと全然違うけど)。

どうも私は起承転結のはっきりしない、曖昧な話しが(わかんない、わかんない・・・と騒ぎながらも)好きらしい。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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