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ボルヘス、オラル

失礼ながら買ったことをすっかり忘れていた。これはボルヘス晩年1978年にアルゼンチンのベルグラーノ大学で5回わたり行った講演録。オラルは”Oral” ボルヘスは文学者ではあるかもしれないし、詩人でもあるかもしれないけど、小説家のカテゴリーに私は(勝手ながら)入れていない。彼は書く人ではないように思える。この本を読むと更にそう思う。

ボルヘス、オラル (叢書 アンデスの風)
ボルヘス、オラル

5回の講演で語った5つのテーマ「書物」「不死性」「エマヌエル・スウェデンボルグ」「探偵小説」「時間」がここには収められていて、これらはボルヘスを読み解く鍵なんだろうけど、読み解くなんてを考えると読書がつまらなくなるので、私は考えないぞ。評論集・エッセイの類も数冊読んだけど、難解、いや高尚でこれもかと思いきや、これは本当に語りかけるように平易に書かれている(拍子抜けする程)。訳文の良さでもあるかもしれないけど(木村榮一氏)、ボルヘスが自ら言っているように、晩年になるに従い、技巧を凝らすのではなく、彼の内面的な問題を誰にでも理解できる表現に変えて語るようになったんだろうと思う(木村氏は、これこそ文学的創造にほかならない、と言っております)。彼は博覧強記になれるはずだけど、そんなものに興味はなく、私たちが本を読んで思い、感じるように、それを語っているだけで、ただ、さらにそれを個人の思索以上に展開するものだから(宇宙のレベル!)その展開への解釈論が生まれちゃうのかも。ボルヘスは長編というものを一度も書いていなくて、短編ばかり、つまり、そもそも言葉が節約されているわけだ。

さてさて、
「読者が晦渋だと思うような作品を書いたとすれば、それは作者が失敗したのである。それゆえ、読むのに大変な努力を要する作品を書いたジョイスのような作家は本質的に失敗していると考えられる。人は苦労してまで楽しもうとは思わない。書物もまた読者に努力を要求してはならないのだ。」
に思わず拍手 ついでに学生に向かって、文献・批評は読まなくていい、直接実作にあたれ、と言ってきたらしい。これまた拍手 本にジャンルをつけることを否定する発言もあったけど、本はテキストそのものではなく、読者とテキストの双方を必要とし、この両者がひとつになって初めて存在する、と言ってくれている。そう、彼は読む人なんです。

なんだか自分に都合のいいところだけ取り上げてしまったなあ。で、次に何を読みたくなったかというと、エドガー・アラン・ポー。第4回目の講演は「探偵小説」だったのだけど、そこで主に取り上げたのが、ポー。ボルヘスお爺ちゃん、探偵小説好きだから。そういえば、ボルヘス編纂「バベルの図書館」シリーズに、盗まれた手紙 E.A.ポー著(バベルの図書館 11) があった(というか、読んだ)。
「この混沌した現代にあって、慎ましやかではあるが、古典的な美徳を未だに保ち続けているもの、それが探偵小説である。」
とお爺ちゃんに言われちゃったので、ちょっと探してみようかと思っている。
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