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ポー名作集

ということで、Edgar Allan Poe。推理小説、探偵小説というジャンルの先駆者の宿命なのか、名声を博したのはその死後だったらしい。子供の頃、児童書になった「モルグ街の殺人」くらいしか読んでなかったけど、今でこそエンタテイメント要素満載の推理小説は、ボルヘスが言うように本来 ”慎ましやかではあるが、古典的な美徳を未だに保ち続けている” もの。うん、分かる。確かに今となっては古典ではあるけれど、いつ書かれたか云々ではなく、優雅でクラシカル、知的で格調高い。翻訳は丸谷才一氏。
ポー名作集 (中公文庫)ポー名作集 (中公文庫)
(2010/07/23)
エドガー・アラン ポー

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「モルグ街の殺人」 「盗まれた手紙」 「マリー・ロジェの謎」 「お前が犯人だ」 「黄金虫」 「スフィンクス」 「黒猫」 「アッシャー館の崩壊」 の以上8作品。どちらかと言うとポー作品の有名どころを揃えた短編集。「バベルの図書館」のセレクトの方が、マニアにはいいかもしれない。最初の3篇は世界初の名探偵、オーギュスト・デュパンが登場する作品。貴族の出でありながら没落し、今は語り手の「私」(名前が明かされない!)と供にパリの怪しげな館に住む奇人変人。「私」との会話は、シャーロック・ホームズとワトソンの会話に後に引き継がれた(っぽい)。

先に嫌なことを書いてしまおう。セリフの語尾の処理がしっくり来ない(丸谷才一に物申すのでちょっとドキドキする)。例えば、 から  までの少々長い、オーギュスト・デュパンのセリフの中にこんな語尾が混じる。
・・・ぼくは反対だな。・・・にすぎないんですからね。・・・しょっちゅうあるぜ。・・・無数にありますよ。・・・ひそかにいだいていない人とかに、ね。・・・言ってやりたまえ。
ちなみにデュパンは、自分のことを「ぼく」と呼びます。私は天下のオーギュスト・デュパンを頭に描きたくて描きたくて仕方ないのに、これだと彼の人格が破綻してしまい、デュパンって何者なんだあ!という気持ちになる。

さて、ボルヘスに ”古典的な美徳” と云わしめたものは何なのか?まず事件そのものの意外性の面白さというより、推理過程の面白さ。推理過程には、その人間の特徴を分析し、心理を読み解くドラマがある。人間がついつい陥ってしまう思い込みや、常識という名の曇った眼鏡でものを見る愚かさを覆すような、極めて理論的な推理、これを ”人間の理性が部分的真理を求める傾向の故にかえって理性を妨害する” と言わしめる。現代小説にありがちなトリック頼みの推理小説ではない。

どうしてオリジナル英語版にしなかったのかというと、な~~んか格調高くて難しそ~~な感じがしたから。でもどんなもんなのかちょっと知りたいと思って、Gutenbergのサイトに飛んでみた。ここは版権の切れた古典などをタダでe-book形式にダウンロードさせてくれるサイト。当然ポーはある。結構面白かった「黒猫」(The Black Cat)をちらりと覗くと出だしはこんな感じ。
FOR the most wild, yet most homely narrative which I am about to pen, I neither expect nor solicit belief. Mad indeed would I be to expect it, in a case where my very senses reject their own evidence. Yet, mad am I not―and very surely do I not dream. But to-morrow I die, and to-day I would unburthen my soul.
日本語を読んだ後だから、なんとなくはわかるけど、いきなりこれだとウウウ・・となる。でもこの後からは ”いけるかも?” 程度にはなっていた。でもこんな文章見せられたら、意味がわかりゃいいってもんじゃなく、この雰囲気を味わえないと楽しみも減るってもんだ。かといって、ほほぉ・・と思える程私の読書力はない。とはいえ、日本語だとどんなに翻訳がよくても、やっぱり翻訳者のフィルターを通したある一つの解釈を読むことになるから、狭められる感じはする。やっぱりオリジナルなんだろう。いつのことやら。。。
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